最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

-

信頼性とメディア設計

公開日時:
2006/06/07 15:10
著者:
渡辺聡

前段は流れの確認なので、斜め読みして分かる方は最後だけ目を通して頂ければ。
 
信頼性の確保という視点でメディアの歴史を、ネットサービスの一部、特に検索周りを中心として描いてみたい。

 
アウトライン整理
 
・新聞、雑誌など
 
テレビも含めても良いが、少し話がずれるので気持ち除外で。このスキームでは、組織が情報を担保する。現場に行き、裏取りを行い、デスクが確認し、組織として担保した形で信頼の置ける情報を世の中に送り出していく。本当に出来ているのかという議論も無い訳ではないが、基本は以上の仕組みで動いているため、読んでいる人はそれなりに安心して内容を読めば良い。
 
エンジンは専門組織と組織内でのルールとなり、対象はコンテンツからパッケージングまで及ぶ。
 
・ディレクトリサービス
 
コンテンツは外にあるが、組織内の人間がセレクションを行う。セレクションについては責任を負って外に出す。新聞社と通信社の関係も一部はこのような作る役割、パッケージを作る役割に分かれている面もある。
 
Yahooニュースなどのアグリゲーション型サービスの場合、基本としては記載内容についての責任は追わない。実際訴訟や判例が出てくると違う解釈がされる可能性はあるが、いわゆるメディアほどの重い責任は発生しない。
 
エンジンは組織であること、ルールの重要性も変わらないが、記事内容、すなわちコンテンツの品質担保は範囲外となる。
 
・サーチエンジン
 
アルゴリズムはどうあれ、コンテンツは自分で持たない。またプログラム処理されるので、セレクション作業も自動化される。もちろん、アルゴリズムを設計するのも調整するのも人間なため、人間の関与がゼロになる訳ではないが、前二者に比べると随分と小さくなる。
 
エンジンは、文字通りアルゴリズムのエンジンとなる。記事内容の担保もセレクションの担保も、サーチ品質という形では問うが緩くなる。
 
この段階で、一回のサービスについては人手の関与は小さくなる。
 
・ソーシャル系サービス
 
ブックマークからソーシャルサーチまでまだまだ開発中であるが、サーチの欠点のひとつであるまとまったスパムに弱いという弱点を、人間の判断を上手くアルゴリズムに組み込むことで良いサービス品質を維持出来ないだろうかというところとなる。
 
とはいえ、ベストなアプローチかと問われるとまだ結論は早い。ソーシャル系サービスはソーシャル系サービスなりのスパムがあり、ややこしい話も一部では起きているのも事実である。
 
エンジンはアルゴリズムになるが、重み付けや範囲設定などを人間がサポートする形でサービス品質を確保することになる。コンテンツについてはCGM的アプローチが含まれると組織ではなくなり、含まれないのならエンジンの作りと人の協働作業が揺るやかに担保することになる。
 
 
何を信頼するのか
 
あらためてざっと整理してみたのだが、要するにそれぞれのスキームで何を信頼の単位とするのかが変わってくることになる。
 
例えば、新聞の場合は署名記事とかいう話もあるだろうが、まずはその新聞社を塊で信頼するかどうかになる。書籍だと出版社もあるが、直接的には著者だろう。
 
Blogになると普通は書いているその人自身。クリッピングサービスは、全体としてはコミュニティへの信頼と裏側には運営者への信頼。個別のコンテンツは個別コンテンツへの信頼。
 
情報の取得コスト、つまりタダで見られるというのがコストが安い状態としばしば言われるが決してそうではない。中身の信頼性のない情報が幾らあってもそれはノイズにしかならないので、むしろ無いくらいで良い。必要なだけの支払いの上で信頼性が得られるのであれば、必要な人にとっては妥当性のある取引となる。
 
自分で判断するのか、どの単位をエージェントとして信頼するのか(運営体か個人か)、どのような組み合わせがトータルコストが低く効率が良いのか。
 
また、主体設定の無い万人にとってではなく、「自分にとって」必要十分な仕組みはどのようなものか。
 
オープンソースもそうだが、ある品質を得たいというのであれば、どこまで自分でやるのか、どこをアウトソースして必要ならコストも支払うのか、判断して決めることになる。参加型、民主化、2.0などと言われるのはそういった世界でもある。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々I am Jamming!
外資系エグゼクティブの日々
村上敬亮 情報産業の未来図ネットワーク型産業構造への衣替え?
村上敬亮 情報産業の未来図
クロサカタツヤの情報通信インサイトグッバイ、レバレッジ!(1)
クロサカタツヤの情報通信インサイト
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」9月イベントお知らせ
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
ケータイ時代のスタンダードiPhonista Nightの事後報告
ケータイ時代のスタンダード
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance新サービスをローンチしました
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
鈴木健の天命反転生活日記パラレルワールドとしての電脳コイル
鈴木健の天命反転生活日記

読者ブロガー

IT業界(笑)最底辺層生活オトナになるということ
IT業界(笑)最底辺層生活
夢幻∞大のドリーミングメディア福祉国家の失敗〜40年前の「断絶の時代」を読む(3)
夢幻∞大のドリーミングメディア
Life with Mac and more.さあ来い!Silverlight 2
Life with Mac and more.
コミュニケンシュワ
コミュニケン

企画特集

ネットと家電をつなぐチャレンジ「Life-X」
第一題:ライフログ・シェアリングサービス「Life-X」の第一印象は?
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第2回】メーカー/占いのコンテンツを作ってみた!

新着コメント

> まぁ、それはよいとして touch diamond はタッチとスタイラスが混在してお......
PCがメインだって?だったらiPhone買ってみな!
投稿者:kirifue
介護福祉を民営化したらいろいろ問題が起きたのでは? ともかく既得権益の病......
福祉国家の失敗〜40年前の「断絶の時代」を読む(3)
投稿者:porepore90
申し訳ありません、訂正をさせていただきます。 × 現在は既存メディアより......
東方なんとか、からSRCに辿り着く
投稿者:korly
行きたかったなー! 東京は、やはりー遠い!...
OSC2008Tokyo/Fallで勉強会大集合開催
投稿者:ヴィヴィ
アップルガイ=価値観のバイアス強すぎ!という印象バリバリでありましたが、......
PCがメインだって?だったらiPhone買ってみな!
投稿者:尊仁

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

今週の新製品総チェック:新PS3が登場!ニコンが発表した映像製品「UP」とは?
「東京ゲームショウ2008」が10月9日から開催され、新PS3やXboxの新作ゲームなど、ゲーム機の大型発表が相次
[レビュー]2011年画質を備えた高画質、多機能Blu-ray--ソニー「BDZ-X95」
ソニーのBlu-ray Discレコーダー新製品が登場した。2007年から引き継がれる「やりたいことから選ぶ」シリー
今週の新製品総チェック:よりモバイルPCとして進化した「Let's note」が登場
松下電器産業の「Let's note」、デルのデスクトップPCとPC新製品が数多く登場した。Let's noteは9時間駆動
今週の新製品総チェック:フルサイズCMOS搭載のキヤノン「EOS 5D Mark II」が登場
キヤノンからもフルサイズCMOSセンサを搭載した「EOS 5D Mark II」が登場した。合わせてコンパクトデジカメ
今週の新製品総チェック:第4世代iPod nano登場、ソニー「α」、松下「LUMIX」に新機種も