ジェフリー・ムーアの新著、『ライフサイクル・イノベーション』が発刊されたので、読み進めると同時に、応用拡張と実務適用のフレームについて翻訳者であるテックバイザーの栗原さん(仕事のパートナーでもあります)も交えて周囲で議論を進めている。
上手く整理された資料なため、拡張の方向性として様々可能性が出ている。例えば、企業の状況と投資ポートフォリオの設計というところはライフサイクル管理に繋がり、ソフトウェアライフサイクルというサブテーマの部分拡張に繋がる。単純な投資と償却期間というのではなく、モジュール化と再利用も含めて、オープンソースなどの共有ナレッジを採り入れた際のサイクルとエコノミクスの変化などテーマとしては割と深くなっていく。
ポートフォリオ管理
栗原さんとぼちぼちやりとりしているのが、コアとコンテクストの概念を広げての情報化投資のポートフォリオ設計について。大枠フレームは月刊Computerworldの2006年7月号でご本人が紹介されている。
まずコアとコンテクストの意味は、
コア・コンピタンスとは企業が得意とする事業領域のことです。コアがコア・コンピタンスのこともありますが、そうでないこともあります。もはや差別化要素でなくなった業務に、それが自分の得意分野であるからという理由で力を入れ続けている状況です。典型的なケースは、コモディティ化した市場で依然として製品の高機能性で勝負しようとしている場合などが挙げられます。
コア・ビジネスとは企業の収益の大部分を占める事業です。ここでも、コア・ビジネスの中にはコア(差別化できている部分)もありますし、コンテキスト(差別化できていない部分)もあります。「ライフサイクル・イノベーション」翻訳時に、「コア」の説明のところで「コア(中核事業)」とカッコ付きで説明を加えようかと思いましたが、コアとコア・ビジネスとの混同を増すだけだと思いやめておきました。
このようになる。
本エントリの趣旨からは脱線するが、コアコンピタンスとコアビジネスを分けて考えるのが一つポイントとなる。例えば、Googleのコアコンピタンスはアプリケーションを中心にあるが、ビジネスはメディア事業が中心になっている。
データ層への拡張
ジェフリー・ムーアの視点はアプリケーションを中心に描かれているように思える。主要ターゲットはエンタープライズ市場となる。
なのだが、読んでいてそのままデータ層に拡張してしまうのも面白いのではないかと考えている。つまり、コアデータとコンテクストデータに分けて管理ポートフォリオを組んでしまうというアプローチとなる。
データマネジメントについてはストレージの世界で良く語られる。大手ベンダーを中心に情報ライフサイクル管理(ILM)という言葉は頻繁に使われている。このように、データ管理の効率を上げたいという話は以前からあったが、やはりコスト面での見方が強くなっている。
よって、拡張ポイントとして簡単に書いてしまうと、
1)エンタープライズサーチをテーマに度々取り上げているように利用価値、投資リターンの視点を加えてのデータ資産の評価(つまり、コストがかかっても大きなリターンが得られるのであれば投資として正しい)
2)データの重要度別にコアとコンテクストに分類し、管理利用のフレームを分けてポートフォリオに嵌めてしまう
ことの2点となる。範囲としては、システム投資方針、管理サイクル設計、オペレーション設計、大きく行ってしまうと事業モデルの再設計にまで行くので話としては割と大きくなる。
ここまで書くとお気づきの方もいらっしゃると思うが、ムーアの緑の本はプラットフォーム・コンテンツになっている。良い本の印と言えよう。
◇
そして、今日の夕方からNew Industry Leaders Summitです。明日テクノロジーマネジメントのセッションをやりますので、ご参加の方は宜しければ。1時間なので要約圧縮版ですが、大枠のフレームワークまでは出来ると思います。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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