最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

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情報社会学追説:ソーシャルギーク

公開日時:
2006/04/30 22:36
著者:
渡辺聡

無闇とキーワードを増やすことは無いかと思いつつも、どうもあって良い気配がするのでひとつ定義してみたい。といっても現段階では仮フレームであり、後日撤回する可能性もある。タイトル通り、ギークの概念を拡張してみたい。ちなみに、本エントリ執筆時点でGoogleとテクノラティのいずれで検索してもヒット数はゼロである。

また、渦中の方は「何を今更当たり前のことをこねくりまわしているのか?」という感想を持たれるかもしれない。そういう方はあっさり読んで現場に戻って頂ければ。
 
 
ギークとソーシャルギーク
 
ギークの定義については、ちょっと古い資料になるが根っこの方がを辿ると、このように説明されている。

ギーク:新たな文化的エリートに属する人々。ポップカルチュアを好み、テクノロジーを肯定的に捉え。社会に不満を持つ。ほとんどのギークは、息苦しく無味乾燥な教育システムを軽蔑して来た。このシステムにおいては、彼らは常に、不快な社会的価値観、悪意ある同級生などに取り巻かれて来た。そこで彼らはこのシステムを超え、地球上で最も自由かつ創造的な文化――インターネットとWWW――を築こうとしている。今や彼らは、世界を動かすシステムを動かしている。
 彼らは概して頭が良く、個性的である。そのためしばしば恨みを買ったり、孤独、疎外の状況に置かれる。仕事においても遊びにおいても、彼らが好むものに対して異常なまでにのめり込み、また社会のアウトサイダーとして、辛辣な、あるいは残酷な、研ぎ澄まされたユーモアを持つ。一般に権威に対しては懐疑的。今日においては、「ギーク・アセンション(ギークの成り上がり)」は、肯定的な、嫉妬の対象となる言葉でもある。 (一九九九年六月)

ざっと読むと、尖った一部のエンジニアを指す言葉であることは議論の必要がないところかと思う。

ソーシャルギークは定義として必ずしもエンジニアに限定されない。情報アーキテクチャーを巡る考察を続けている浅野さんのような方も該当するだろうし、広告の分野で発言を続けているタカヒロさんいしたにさん小鳥さんも該当する。

というよりは、エンジニアではなく、且ついわゆるデザイナーやクリエイターではないが、何かを創造する場面に関わっており、且つ強く生み出すことを意識している方々。より良いもの、サービスを生み出すべくコードは書かないが設計に関わっている文系ギークとでも呼べる人達が何者なのか上手く説明する言葉がないかと考えていたら出てきたものとなる。
 
「じゃあ、学者はどうなるの?」など周辺領域の範囲がどこまでと考えるとすっきりとするかは今のところアイデアとして固まっていない。
 
 
英語版Wikipediaの定義
 
本家WikipediaでのGeekの定義が現時点どうなっているかを見てみると、

The definition of geek has changed considerably over time, but the use is colloquial and there is no definite official meaning. The social and rather derogatory connotations of the word makes it particularly difficult to define.

ということで、そもそものGeekという言葉が多義性の高い固まった言葉となっていない。狭義には、

A person who has chosen concentration rather than conformity; one who pursues skill (especially technical skill) and imagination, not mainstream social acceptance. Geeks usually have a strong case of neophilia. Most geeks are adept with computers and treat hacker as a term of respect, but not all are hackers themselves - and some who are in fact hackers normally call themselves geeks anyway, because they (quite properly) regard 'hacker' as a label that should be bestowed by others rather than self-assumed.

ということでコンピューターギークの定義が色濃く残っているが、別の定義では

A person with a devotion to something in a way that places him or her outside the mainstream. This could be due to the intensity, depth, or subject of their interest. This definition is very broad, and allows for mathematics geeks, aviation geeks, band geeks, computer geeks, politics geeks, modelmaking geeks, music geeks, theatre geeks, history geeks, linguistics geeks, sports geeks, SCA geeks (SCAdians), gaming geeks, Comics geeks, ham radio geeks, public transit geeks (metrophiles), literature geeks, anime and manga geeks (otaku), Star Wars geeks, Star Trek geeks (Trekkies and Trekkers, the latter noted for costuming), Tolkien or fantasy geeks, and even Wikipedia geeks. (Late 20th century and early 21st century.)

カテゴリー別に文化し、Geekという言葉自体は技術から離れ、世の中への向かう姿勢といったニュアンスに変わっている。
 
 
公文フレームとの接合点
 
というわざわざワードの説明を一本入れたかったのは、情報社会学序説で出てくるフレーズ

ハッカーズからギークスへのこのような転換は、とくに一九九〇年代に激しく進んだ。その中で、ギークの性格も、もともとの「テクノギークス」としてのそれから、より広い文化・社会的なものにまで拡大していった。こうしてギークスという言葉は、まさに第一次情報革命の「出現の突破」局面を担った智民たちの総称としての地位を占めるにいたったといってよいだろう。

の実務側からの検証とざっと調べた限り現状どうなっているのかの確認作業としての意味合いも一つ。
  
テクノロジードリブンのみで物事を進めることが必ずしも正解ではないことは過去の歴史を見たらすんなり理解出来るところであり(ややこしい理解の仕方をしたかったら例えばクーンあたりなど)、同様に「智民」と定義されるものが一方的に正義かと問われたらそうではないだろうと、ご本人が先日の講演後のやりとりでコメントされていたりと無批判に受け止めるのが良いものと思えない。
 
だがしかし、情報の普遍化とイノベーションの民主化傾向、技術がラッピングされサービス化されて流通する傾向が強まっていることなどを考慮すると、加えて、ギークと呼ばれる人たちが何かを生み出しイノベーションに関わる集団だと考えるのなら、エンジニアだけに目を向けていると見落としがでるんじゃないかというのが、わざわざソーシャルなどと追記して言葉を分けたくなった所以となる。
 
ちなみに、ソーシャルギークは(旧来の意味の)ギークかスーツかと問われたら、両方の要素を持つと答えたい。ついでに、文系か理系かと問われたら本来分けるものではないが、どっちかに重心があってももう一方に目を向け耳を傾けているとのイメージを持っている。

追記:
平田さんが2004年に「Social Geek」という表現を使っていた(今も使っているのでしょうか?)とファインダビリティの浅野さんから教えていただいた。内容としては、

シリコンバレーにいったとき、そういう能力をきちんと持ったエンジニアに何人も出会うことができ、とても驚きました。ガジェットを触っているときは単なる geek(オタク) なのですが、自分のやっていることについて、様々な視点から、だれにもわかりやすい説明をきちんとできる、自己満足でおわらない社会性のある geek でした。説得力もあって、ビジネスに結びつけるだけの力を持っている人にも、幾人も出会いました。たまたまかも、しれませんが。

わたしはこういう人を「Social Geek」と勝手に名付けて呼んでいます。

エンジニアの小分類であり、サービス化領域について触れたい本エントリの趣旨とはまた違ったものですが、参考までに。
 
また、ブックマークで「アルファブロガーとの差は?」というコメントがありましたが必ずしもBloggerである必要はないというところでしょうか。仕事をご一緒させて頂いている方々で該当する人は数多くいますが、必ずしもネットに住んでいたり、BlogやSNSを駆使してという人とは限りません。むしろ、足場はオールドなところにあったりします。
 
もうひとつ、ブックマークのURLはそろそろトラックバックの受付があってもいいかも、と思います。

関連エントリ:
情報社会学追説:私たちはなぜ語るのか
情報社会学追説:ソーシャルギーク
情報社会学追説:オープンコミュニティとプライベートセクターの取引モデル
情報社会学追説:社会インフラとしてのメディア機能

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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