最終更新時刻:2008年8月28日(木) 22時20分

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技術と経営のミッシングリンク

公開日時:
2006/04/13 08:24
著者:
渡辺聡

以前から指摘され続けているものではあるが、技術と経営のバランス、両者を上手く繋げることというのは、課題として言われ続けているはずなのだが、世の中相変わらず起きている。基本であり根本になるような話は何度取り上げてもいいものなので、たまには現場話を。
 
 
戦略レベル

情報インフラに乗っかっている事業体にも関わらず、技術から出てくる打ち手と制約が上手く戦略レベルに落とし込まれていないケースは珍しくない。ネット企業でも、両者が適切に繋がっているケースはそう多くないのかもしれない(という話は神原さんとも先日していた)。

両者が繋がらないと事業サイクルに無駄が出るか、戦略が最適化されず空回りして成長性に縛りが入るか、最悪の場合はバランスを崩して破綻する。米国SNSの草分けであるフレンドスターが急成長して途中で頓挫したが、技術要因が結構あるのでは、と考えている。裏から見ると、上手いこと捌いているYouTubeなんかはたいしたものだということになる。

「私達は事業会社だから関係ない」となるかと問われるともはやそうも言ってられない。まず、社内の情報化は色々言われつつも進んでいる。URL、メールアドレス、携帯電話のいずれも載っていないというのはいま手元に何枚あるだろうか?PCを使ってない事業所がどれくらいあるだろうか。インターネットに繋がってないケースはどれくらいあるだろうか?企業規模関係なく、事業を支えるインフラが技術の上に乗っかる流れは着実に進んでいる。

技術至上主義は取っていないが、使えるところは使うべきであるし、使えないところに過度な期待をするのも意味が無い。試しに三つ簡単なチェック項目を挙げてみるがクリアされているだろうか?

1)会社の事業を遂行するのに、必要十分な技術投資がどれくらいか根拠をもって説明出来るか
2)安定運用を行うのに必要な体制とコストがどれくらいか、チームのスキルセットと合わせて定義されているか
3)開発投資のタイミングと金額が事業計画上考慮され、投資した結果何を得られるかが分かっているか

ついでに、テクノロジーを取り入れることで戦略を選択出来る幅がどのように変わるのかは整理されているか。もっといいやり方があるのに選択出来ていないケース、もしくは、技術のハンドリング能力を高めるとコストと効率いずれも向上させられるだろうに、上手く向き合っていないためにロスを生んでいるケース、いずれもある。

その他、基盤が弱いのに上になんとかビジネス載せようとするケース。技術は魔法の小箱ではないので、無いものを出すことは出来ない。出来て、運用でカバーするくらいである。基盤の弱さはシステム側と運用側どちらでも起こりうるが、いずれにしても、サービス品質と提供出来る能力と、事業が要求するレベルが合っていないとお客さんの利用するサービス品質が安定しないために、顧客離れに繋がることになる。一度離れたお客さんを再度捕まえるのがどれくらい面倒なことかは説明するまでもないだろう。
 
 
オペレーションorプロダクトレベル
 
個別のサービス設計やプロジェクト支援で入る場合も結局起きることは似ている。要すれば、現実的に出来ることが計画段階で理解されていないと、無理のあるオペレーション設計やプロジェクトが立ち上がってしまう。もちろん、無理のある分成功率と品質には影響が出やすい。

どちらかというと、ビジネスサイドから問題を解くアプローチで入ることが多いが(よって、話し相手は経営者や事業責任の方が多くなる)、エンジニアが実際出来ることと、プロジェクトで達成しようとしていることのズレを調整役割は良くある。というよりは、この点さえ押さえたらまずは形になる。出来るか出来ないかをまず判断するのはエンジニアとなる。なぜなら、彼らが作るのだから、彼らが「出来ない」と言っているものは出来ない。仮にチームの技術力が不足していたとしても、チームの入れ替えが出来ない状況であれば現有戦力で出来ることは定義されるため、彼らの出来ることが制約条件となる。条件を越えて無理すると、起きるのは品質低下である。

これらのバランスを調整しましょう、というくらいだと教科書に書いてあるフレームレベルの話になる。しかし、その会社全体の方向性や、プロジェクトの位置づけ、外部の競争環境への考慮という話になると、段々と話の個別性が高まっていく。その会社が何をしたいと思っているのか。どれくらいの体制でいるのか。これは教科書には載っていない。
 
 
コスト感覚全般
 
ECの案件でよく言われるのが「Amazonみたいなの」。他にも社内向けの情報探索ツールとして「Googleみたいなの」というのも良く言われている様子である。

事業規模にも若干依存するが、やりたいことがどれくらいの値段と期間で出来るのか。この感覚数値を伺うだけでも、どれくらい技術を経営的に評価出来ているかが分かる。例えば、AmazonとGoogleがどれくらいの累積投資金額とエンジニアチームで今のサービスを実現させているのだろう。

企業の根っこを磐石に作れるようなエンジニア単価は高い。戦略に関わったコンサルタントなどでなく、エンジニアでも月額で300万や400万がつくのは、見るところを見てると珍しい風景ではない。フリーのツールやサービスが溢れ、上手く組み合わせて何かをするという選択肢は確かに出てきている。しかし、収益に直結する、大事な部分をなんとなく外から持ってきたもので支えていいのか。安いからといって、鉄骨抜いた家に安心して住めるものか。

以上の話を見て、なんて当たり前な、何も目新しくないと思われる方も数多くいらっしゃることだろう。あとは、実際に出来ているかというところである。

技術のインパクトを捉えて、プロジェクト投資の計画と、効果測定後の修正までモデル化がどれくらい出来てるか問われたら意外と難しいところなんじゃないかというのがあちこち現場を回っていて感じている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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