Sun Microsystemsの社長兼COO、Jonathan Schwartzが書いているBlogは、企業経営者のものとは思えないほど面白い。
「On April 2, 2004 Jonathan Schwartz, 38, was named president and chief operating officer of Sun Microsystems. In this role he is responsible for operations and execution of Sun's day-to-day business including Systems, Software, Global Sales Operations, worldwide manufacturing and purchasing, customer advocacy and worldwide marketing.」(Sunのサイトより)
彼は2004年4月2日に38歳の若さでSunの社長兼COOに就任し、その約3カ月後の6月28日にBlogを書き始めている。彼のBlog第一声は、
「OK, I'm starting a blog. Why shouldn't an officer of a public company start a blog? Hey, life is short.」(よし。Blogを始めることにする。どうして公開企業のオフィサーがBlogを始めちゃいけないんだ? 人生は短いんだぞ。)
である。そして彼のBlogの定義は、
「What's a blog? It's basically an on-line journal - a whitespace - that updates from the top (most recent posts appear first) into which I can offer perspectives, opinions, and insights, and I can link to others and their views, etc. Others can link to me and send me feedback, creating a massively connected community and open dialog.」
彼は、彼のperspectives(観点、見通し、大局観), opinions(意見), insights(洞察)を提供し、他者の視点とリンクし、「a massively connected community and open dialog」(巨大な接続されたコミュニティとオープンな対話)を創出しようと言う。
ライバルとの軋轢も関係なし
彼は自分の意見をはっきりと書く。だから軋轢も生じる。
ライバルのHPはSunに書簡を送り、JonathanがHPについて書いたBlog内容の一部を、掲載中止するよう求めたらしい。
HPが怒ったのは、Jonathanの8月16日のエントリーに対してである。でももちろんこのエントリーは、現時点で消去されてもいないし、修正もされていない様子だ。「I'm a fan of their CEO」(個人的にはフィオリーナのファンだ)なんて書きつつも、かなりはっきりとHPの問題点を指摘している。
特に、
「To me, HP's problems spawn from the death of... their operating system, HP/UX.」(HPの問題点は皆、彼らのOSであるHP/UXの死によって生じているものだと、僕には思える)
という部分から始まるJonathanの饒舌に対してHPは怒っているようだ。まぁ無理もない。興味のある方は原文をどうぞ。
米国CIOの間の話題
さて、Jonathanの最近のBlogで面白かったのは、9月20日「The N1 Grid Service - A True Computing Utility」と、9月25日「$1/cpu/hour - the industry's first "computing plan"」であった。Sunのユーティリティ・コンピューティングに対する取り組みが、社長の言葉で語られていて面白い。
特に25日のエントリーで、彼は米国企業のCIOたちとのディナーでの2つの発見についてこう書く。
「At that dinner, I had a chance to hear what was on the minds of nearly 20 CIO's and CTO's. Beginning to rebuild the dialog. (In one of America's great museums, btw.)
A few surprising things arose from the discussion - my favorite: the CIO who said, "there are two issues really keeping me up at night. Number one, I'm out of space in my datacenter, computing equipment and storage have filled it to the gills - and real estate's not getting any cheaper; number two, I can no longer supply enough power to, or exhaust heat from the place. I feel like I'm running hot plates, not computers."」
ある米国大企業のCIOにとっての大問題は、データセンターのスペースと、消費電力と熱の問題だという話。5年前には想像すらできなかった課題が最も喫緊のものとなっていると、CIO氏はJonathanに言ったのだという。
むろんここから自社のN1 Gridの話になるわけだから、各社から等距離で公平な第三者によって書かれる分析だと思って誤読すれば「?」という部分はあったとしても、プレイヤー当事者の同時代的な発言としてはとても面白い。エンタープライズ・コンピューティングに興味のある方は、ぜひこの20日と25日の原文をどうぞ。
変化の胎動を示唆するSchwartzのBlog
米国大企業が元気を取り戻して、各社のCIOたちが活発な投資を新しい技術に対してするようになると、米国IT市場は新しいステージに入る。
1987年にブラックマンデーがあって景気が落ちこんだあと、米国大企業がコンピュータシステムへの投資を再開したときに、投資の傾向がシフトした。それが本格的な、メインフレームからオープンシステムへのシフトだった。それがIBMの凋落につながり、1991年にIBMははじめて赤字に転落した。1996年頃から米国大企業はインターネット関連投資を強化し、94-95年から始まったインターネットブームに実質が伴うようになった。しかし99年にはそれが加熱し過ぎて、バブルをより大きく膨らませてしまった。バブル崩壊、同時多発テロからイラク戦争へと動いてきた現代、米国大企業は各社ともバブル期の過剰投資を消化するのに精一杯で、「守りの投資」を戦略の柱として、現在に至っている。ただ、そういう時期も、そろそろ終わろうとしている。
アメリカはこれまで、不況が明けるたびに必ず、新しい技術や新しい企業が登場してIT産業が一変する、ということを繰り返してきた。バブル崩壊から4年が経過したが、JonathanのBlogに書かれているさまざまなことには、そんな観点からの示唆が色々と含まれている。
Sunは社員のBlog一覧も公開
最後に、Sunの社員Bloggerサイトをご紹介しておこう。
「The individuals who post here work at Sun Microsystems. The opinions expressed here are their own, are not necessarily reviewed in advance by anyone but the individual authors, and neither Sun nor any other party necessarily agrees with them. 」
このリストに載っている人たちは皆、Sunに勤めているけれど、表明された意見はそれぞれ個人的なものであり、事前にレビューされたものではないし、会社として彼らの意見に必ずしも同意しているわけではない、と記載されている。日本のIT企業も、こんなポリシーで、社員Bloggerが外に向かって自由に発言していくのを奨励してもらいたいものだと思う。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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先日の日本経済新聞土曜刊「プラス1」にも載っていましたが、こと国内ではコンプライアンスの掛け声が高まってきたこともあり、社内情報の漏洩を防ぎきれないという名目で、個人による情報発信、とくに会社名を語るそれはより制限される傾向にあるようです。