[ゲスト] 村山尚武 Naotake Murayama
2月2日(月)〜2月10日(火)までの間、梅田望夫さんの代わりに村山尚武さんがゲストブロガーとして登板します。村山さんはシリコンバレーのあるベンチャー企業でBusiness DevelopmentのDirectorを務められており、ご自身でも「Sotto Voce」というBlogを運営されています。村山さんの経歴についてはこちらをご覧下さい。
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7回にわたったゲストブログも今日で終わり。
「仕事しながら、よく毎日長い文章を書けるね」というのはブログを始めてから友人知人の大多数に言われ続ていることであるが、こちらでのゲストブログではいつも以上に長いエントリを書き続けていたので、皆すっかり呆れてしまったかもしれない。
長文化の理由としては、以下のようなものがあげられる。
ちょうど面白い題材が登場していた(Scobleブログ上のiTunes論争や、Orkut登場など)こと
前から自分のブログで書こうと思っているうちに熟成どころか発酵してしまって膨らんでしまった材料を取り上げた(ナノテクの話や、Search Fundの話)
読者の方々から寄せられたコメント、トラックバックに対応しているうちに元々の議論が予想以上に発展してしまったこと
これらに、CNET Japanの読者の方々の関心事に応えようとしてちょっと(?)力が入ったこも加わって、「ノッて」しまったのである。こうなると、Scobleがいうところのブログ中毒まであと一歩…いや、既に立派な中毒患者である。
この上、こちらでは控えさせていただいた映画、音楽、食べ物、書評、「お笑い」などを取り上げていたら、どんな収拾のつかないことになっていたやら。
今日は、そんな中毒状態の私が毎日あさっている情報源についてご紹介したい。
RSS巡回ツールは必須
まずはブログから。
これは、世の中で何が起きているかのみならず、それらに対しどんな議論がなされているかを知るには最も適した手段だと思う。(こう書いてしまうといささか極論めいてくるが、少なくともIT及びその周辺分野についてはそうである)
ある程度以上の数のブログを効率的に読んでいる人であれば誰しもRSSフィードを自動的に巡回してくれ、更新されたものを教えてくれる「アンテナ」ツールを活用していることとは思う。このツールもさまざまなものがあり、日本の方の場合、梅田さんをはじめ、数多くの方々が「はてなアンテナ」を使っていることが多いようだが、私はいろいろ試した結果、Bloglinesを愛用している。
なお、書かずもがなかもしれないが、Bloglinesに関する記述や意見はあくまでも私の個人的なユーザー体験に基づくものであって、Bloglinesのサービスの内容・質に関し、私としても、CNET Japanとしても何の保証をするものではない、と断っておきたい。
Bloglinesが便利
なぜBloglinesを選んだかと言えば、日々モニターしているブログを登録し、更新があれば通知してくれるという基本機能は他と一緒であるが、新規エントリをサイトの更新順に並べるというインターフェースではなく、フレームを利用し、左側のフレームに登録したブログの一覧、右側のフレームに個別ブログと新規エントリの内容(これはブログによって違うが、サマリーだったり、全文だったりする)が表示される、という形式をとっているからである。このインターフェースのメリットは、個々のブログに行かずに、Bloglinesの中だけでエントリの内容を確認できてしまうことと、自分の優先順位に従って、どのブログを真っ先に読み、どれは後回しまたは省略する、といった選択が容易にできることである。
また、登録したブログの一覧も名前順に並べ替えたり、表示の順番を指定できたり、トピックごとにフォルダを作って整理する、といったことができ、とても便利である。しかも、「このエントリを保存する」という機能があるので、面白そうなエントリは後でじっくり読むために保存しておくことができる。保存したものについても、並び替えやフォルダによる整理が可能である。
特に今回のゲストブロギングでは、「ナノテク」「ソーシャルネットワークサービス」「アップル」など取り上げたいトピックのフォルダを作り、そこに該当するエントリをまとめておくことができたので、このエントリ保存・整理機能に大変助けられた、と書き添えておきたい。
Bloglinesではまた、他人が自分が「公開用」と指定したブログリストを見ることをできるURLを生成してくれる。私のはhttp://www.bloglines.com/public/mauddibである。
ご覧頂ければ一目瞭然であるが、英語で書かれたブログばかりである。Bloglines、日本語に対応はしており、日本語のブログの表示も問題は無いが、リスト自体がただいま取捨選択中であるので公開には時期尚早と判断した。
毎日のルーティンとしては、朝起きて、出勤前にまずこのリストをチェックし、「おっ」と思ったものをセーブ(残念ながら「このファイルで保存」という機能が無いので、フォルダ整理は後になることが多い)。短いエントリであればその場で読んでしまうこともある。今のところ全部で66(公開しているのはその中の43)のブログを登録しているが、タイトルと最初の数行だけをさっと眺める、という読み方なのでだいたい30分ぐらいで済んでしまう。週末などで未読エントリがたまった場合は、いくつかの注目ブログを除いては思い切り良く、まとめて「読了済み」にしてしまう。それで何か見逃しても、「趣味」としてやっている以上は困ることは無いし、またホットな話題であれば何日か継続してあちこちのブログで取り上げるので、どこかで引っかかってくるからである。
私が選ぶブログ・ベスト10
紹介した43件の中で、私にとって優先順位の高い10のブログを挙げろ、といわれれば以下の通りとなる(アルファベット順)。
AlwaysOnNetwork
BoingBoingBlog
Joho the Blog
Lessig Blog
Many-to-Many
Ross Mayfield
Scripting News
Slashdot
The Scobleizer (もちろん!)
Wired News
どれもメジャーなものばかりであるが、やはりそれだけ優れたコンテンツを提供していると思う。ここに挙げたブログに共通する特長としては:
ブロガーの見識を反映しているが、自説のプロパガンダにとどまらず、様々な情報ソースから意見を収集しようとしていること(「対話」を促進しようとしていること)
ニュース系の場合、単なる報告にとどまらず考察が加えられていること
重いテーマも軽いテーマも取り上げていること(時には「お笑いネタ」も)
文章が読みやすいこと
更新が頻繁になされていること
優先順位は低いが、私のBloglinesのリストに入っているブログの多くは、上に挙げた10のブログで引用されたことがきっかけで見つけたものが殆どである。また、Bloglinesのホームページには、「人気の高いブログ」、そして自分が現在登録しているリストに応じた「推奨ブログ」に簡単に登録できる機能もある。
この後者の機能、私の関心事のかなりの部分がBloglinesに把握されてしまっている、ということを示しているわけだが、もしこれと私がこちら、そして自分のブログで書いている内容を結びつけ、内容の解析をされたら、(少なくともブログに現れる)私の関心や思考に誰の、どんな意見が影響を与えているか、という「関係性」が理解されてしまうことになる。
そう考えると、こういったアンテナサービスもまた、今後ソーシャルネットワークサービスを強化する「線の性質」の理解を可能にする一手段になってくるのだと思う。
なんだか便利なような、怖いような話である。
ナレッジシステム化するインターネットに接続する人々
話は逸れるが、数百万人のブロガーが存在し、それぞれがお互いの内容に影響を与え、引用やトラックバックでつながっているという現状は、「人間の知恵」みたいなものがインターネット上にどんどん集積するのみならず、「対話」を通じて新たな知恵が生まれることを可能にしているのかな、と思うときがある。インターネットが自然発生的に人間社会の「ナレッジシステム」を形成している、という見方をしても良い。
ただ、こうして毎日のようにブログを書いたりしていると、自分がこのシステムから何かを得ているというよりは、システムの維持と発展のために自分の時間や知識、思考といった資源を注入しているような気もしてくる。
これではまるで、「マトリックス」に描かれた人間がシステムの電池と化した状態ではないか。すると自分は「電波系」ならぬ「電池系」か。
もっとも、いわゆる「大物ブロガー」の方々が原子力発電所並のエネルギーを供給しているとすれば、私の発しているのは単三電池1本分ぐらいのものだろうけど。
閑話休題。
ブログ執筆のプロセス
こうやってブログを巡回し、セーブすることに加え、ウォールストリートジャーナル、CNN、といったニュースサイトをめぐり、ネタの仕入れをすることに出勤前の時間を費やす。
また、自分のブログに寄せられたコメント、トラックバックもこの時間に読んでいる。まだ大量に寄せられているわけではないので、これがブログの題材になることはこれまで少なかったが、今回こちらのゲストブロガーを務めている中で「コメント、トラックバックへの積極的な対応をする」という実験をした結果、読者の方と有意義なやりとりができ、それがまた取り上げる題材を膨らませていく、という現象が見られた。面白かったので、今後はもう少し増やそうと思う。
さて、こうやって得た情報、蓄積された情報を次は自分の中で処理し、文章にするプロセスがあるのだが、原則として本業の業務時間中はブログ関係のことはしないようにしているので、これはどうしても週末や夜遅くにする、ということになってしまう。
「どう処理し、どう書いているか」についてはとても個人的なものであって、読んでいただいてもそんなに面白くないと思うので(明確に説明できない、ということもあるが)今回は割愛させていただきたい。
この「情報収集→ブログ書き」のプロセスにつき、こちらのブログでは、フローチャートまで作って自分のブログ書きのアプローチ(どのプロセスにどれだけ時間を割いているか、まで書いてある)を紹介しているが、正直なところ、ここまでしている人は希だと思う。
以上、私のブログ書きの方法について書いたわけだが、もっと良いアンテナサービス、サイト、情報の蓄積方法、そして何よりも、もっと効率よく文章を書くコツなどがあれば、ぜひご教示いただきたい。私は決してモノ書きのスピードの早い方ではないので…。
最後に
では最後に、文体を変え、お礼など。
まず、今回こちらで書く機会を与えて下さった梅田さん、毎回的確なタイトルと見出しをつけていただき、原稿を読みやすいものにしてくださった山岸編集長、オフラインでフィードバックを下さった友人知人の皆様、大変お世話になりました。この場を借りて、御礼申し上げます。
そして何よりも、7回にわたってお付き合いいただいたCNET Japan読者の皆様、コメントやトラックバックを寄せていただいた皆様、ここを通じて私のブログにお立ち寄り頂いた皆様、本当にありがとうございました。
ご縁がございましたら、またどこかでお会いいたしましょう。
“We make a living by what we get. We make a life by what we give.” - Winston Churchill
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
山崎牧雄 on 2004/02/14
山崎様
コメント有難うございます。お問い合わせの件、大変大きなテーマですので、日々の業務のある身としてはまとまってどこかに書く、というのは当面難しい状態です。ただ、こうした話については私のブログの方で時折触れる機会はあると思いますので、随時ご訪問頂ければありがたいです。
もし一言だけ申し述べさせていただくとすれば、「マーケティング」とは企業によって異なる意味合いを持っている、ということでしょうか。戦略企画的な仕事、プロジェクトマネジャー的仕事、セールス的仕事と非常に多様な意味で使われており、その企業の取り扱う製品・サービスと直面する市場の性質に応じて中身が変わってきていると思います。私の関心事としては、そういう多様な役割のそれぞれにどうITが活用され、またそれによってどう組織体系・報酬体系などが変わるのか、といったところです。
あまりお答えになってないと思いますが、まずはこんなところでご勘弁を。
村山尚武 on 2004/02/13
村山さん、短い期間でありましたが貴重な情報を有難うございました。もし、差し支えなければ大変お手数お掛け致しますが、「日本企業のビジネス戦略におけるマーケティング・ポジショニング」に関してご教授頂ければ幸いです。欧米の大学は、MBAなど実学重視したビジネス・スクールが用意されています。しかも、相応に社会から高く評価されています。ところが、国内では、最近になって一部大学が着手開始したプロセスなのが実状になります。さらに、米国IT企業の経営幹部やマーケティング幹部は、競合の中で多数の引抜きや高額報酬によって会社間を異動していると予想されます。優秀なエンジニアも同様かと(IPの問題はありますが)。確かに、最近のITシステム動向として、これまで基幹系重視システムから、如何にして本来のビジネス効果(TCO削減、人件費削減、顧客の商機獲得、Knowledge Discovery、BI,etc.)を期待するものが増加傾向にあります。後者の多くが欧米ISVに起源しています。欧米のIT企業と日本のIT企業におけるマーケティング・ポジションに大きな違いがあるのでしょうか。噂ではマイクロソフトやIBMでは、経営幹部の直下組織に、マーケティング・インテリジェンスなるノウハウ集団を組織していると聞いております。また、GEの幹部育成プログラムに関しては多くのひとが知るところになります。米国政府でも、ブレーンにはナレッジ集団を組織していると聞いております。言葉では分かっていても、もしできることならば最前線のお言葉をお聞かせ頂きたく宜しくお願い致します。
山崎牧雄 on 2004/02/11
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村山さんのご指摘有難うございました。「マーケティング」という言葉は、村山さんがご説明どおりに、(1)コーポレート全体の方向性に関するもの(M&A/Outsourcing/Offshore.etc.)、(2)ビジネスモデルやビジネス・プロセスに注力したもの、(3)サービス種や新たな課金方式などを検討するもの、(4)技術・製品開発や事業の方向性を導くもの、(5)市場動向や顧客ニーズを把握するもの、(6)販売戦略や販売施策、(7)ナレッジ管理・Business Intelligence、(8)広告・広報、(9)IR(Invester Relations)に関するものなど、非常に多岐にわたっていると考えております。当然に、企業としてのアプローチはすべてが重要であると思われます。
その際、コーポレート全体に及ぼす影響度を考慮した場合に、シリコンバレーにような『Disruptive Technology』が多く発生する土壌では(2)や(4)などのプライオリティが高く評価され、例えば、IBM/HP/Sun/EDS/Accentureなど既存のITサービスを展開しているベンダーの場合には、(1)〜(8)など幅広くイニシアティブ管理を徹底することが求められていると認識しております。仮に、この説明が正しいとした場合には、多くの米国IT企業において、『マーケティング』だけ見ただけでも、コーポレートのベクトルに従い、結果を数値として導き出すことが可能な人材獲得が、IT業界の中で活発化している姿が予想されます。改めて、我々に求められているものが、これまで学問として、長い歴史によって構築されたものだけでなく、現在に顕著に変化しているものだけでなく、これから起こるであろう可能性に対しても、問題意識を持って、柔軟に対応していける能力・スキルが必要なのだと実感しております。
これからも価値ある情報提供をお願い致します。有難うございました。