最終更新時刻:2008年8月30日(土) 2時12分

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Blogを書いてカネを儲けられる時代が来るか?

公開日時:
2003/07/30 10:05
著者:
umeda

blogcount」によれば、2003年6月時点でのアクティブ・ブロガー(Blogの書き手)は、世界中で240万人から290万人程度とのことである。

Phil WolffのBlogでは、この数字が18カ月後には、900万人から1200万人くらいまで膨れ上がることを想定してBlog空間の可能性を計算したりしている。

Chris GulkerのBlogでは、この現象を「The democratization of publishing」(出版の民主化)と呼び、16世紀に印刷技術と郵便サービスが同時に登場したときと同じようなインパクトだと述べている。

「The democratization of publishing has had an enormous effect on the world. In the 16th century, the printing press and reliable postal service became available at about the same time. Even though most of the world was illiterate, the ultimate effect of a newly easier exchange of ideas included the rise of humanism, the flowering of the Renaissance and the Industrial Revolution.」

「The Web server is the cheapest printing press in history.」

「Clearly, there is an enormous interplay of ideas occuring in the world today. And while the number of bloggers, and people with Net access, even, is small compared with the population of the world, I would guess that number is much larger than the small group of literate people who sparked the modern world by exchanging ideas in the 16th century. The Net and Apache are like Gutenebrg's press and mail service - enormous enablers that I believe will spark unprecedented change in the world.」

ウェブサーバーは歴史上最も安価な印刷所である。ネットとアパッチは、グーテンベルグと郵便サービスのようなもので、世界に前例のないような変化を誘発するであろう、とGulkerは書いている。

個人の情報発信はカネになるか

確かに総体としての世の中へのインパクトは大きいかもしれないが、そのことはさておき、Blog現象に代表される「The democratization of publishing」つまり「膨大な量の個人が情報を発信する状態」において、情報を発信することが果たして営利行為たり得るのだろうか、ということを考えてみよう。

「ウェブログで生計を立てるジャーナリスト、成功の秘訣を語る」()()では、ジャーナリストのラファット・アリ氏を題材に、Blogで生計を立てる成功の秘訣らしきものが書かれている。

「現在は約2500人の購読者に向けて毎日発行され、ウェブサイトでは1日当たり約1万ページビューを記録しています。加えて、約500〜700人が私の(サイトの要約記事)投稿を参考にしていると推測しています。」

「この仕事を本業にしてから、5、6ヵ月しか経っていないので、まだ初期段階ということになりますが、広告・協賛関係だけで今年は6万〜8万ドルを稼げるのではと見積もっています。」

とあるが、冒頭で触れたように、これから個人発信情報コンテンツが爆発的に増えていくとき、一般的にいってコンテンツのコモディティ化は避けられず、果たしてこのビジネスモデルは維持されるのだろうか(そもそもこの6-8万ドルというのも希望的観測が混じった見積もりであろう)と、どうも懐疑的にならざるを得ない。

MicordocNewsの「Waldman, Nano Publishing, Nano Business and the Bazaar Economy」では、個人情報発信サイト・ビジネスをNano Publishingと呼んでいる。

この文章では、ガーディアン誌(商業メディア)のWaldmanが書いた「Random thoughts on the rise of nano-business」から、

「To be honest, the revenue model on this sort of publishing seems slightly scary. Yep, the costs are micro...but I'm slightly sceptical about how much advertising money there is coming in, given that you have relatively small amounts of advertising inventory to play with.」

広告収入はあてにならないぞ、という主旨の文章を、まず引用している。そしてその上で、確かに広告収入に頼るのはよくないが、複数の収入ソースを確保する道を目指せば、Nano Publishingも十分に成立するのではないか、という見方を示している。

「Nano publishing is about multiple income streams, each one contributing their own little grain of mustard to the complete steak meal. Nano publishing is about creating a business that also manages risk -- the risk of one income stream drying up. Therefore, we do not base our whole business on advertising, or even one type of advertising, we have multiple ways of earning money, some of which die and others of which cut in and so on. Microdoc News has three forms of advertising, affiliate fees, information sales, and promotional services.」

「To imagine that nano publishing is just about advertising, no wonder Waldman considers that the business model is rather thin. Nano publishing is rather much more like full-scale publishing than Waldman has imagined.」

広告、アフィリエート・フィー、情報の販売、プロモーション・サービスの収入を見込み、小さくても営利な新しいタイプのNano Publisherという存在があり得ると主張している。

中途半端にモノを書いても商売にはならない

ただ最後に僕の感想を述べれば、皮膚感覚として、「The democratization of publishing」現象は、書く側にとって、カネの匂いが全くしないのである。膨大な情報をスケール大きくアグリゲートする部分には某かの価値が生まれる可能性はあるが、個々の情報発信者にカネは落ちてこないだろう。

「モノを書くことが好きで好きで仕方なく、組織に隷属して給料をもらうのも嫌だから、好きなことをやって自分ひとりが生きていくくらい稼げればいい、あるいは少人数のグループでコスト構造を切り詰めて切り詰めてやっていく(それも2-3年楽しめればいい)」というくらいのことならば目指せるかもしれないが、それ以上は難しいだろう、というのが僕の直感である。

もちろんほんのわずかな例外は存在するだろうが、これほど金儲けがしにくそうな場で成功できる才覚があるのなら、他のことをやったほうが手っ取り早く稼げる、という気がする。

「モノを書く」などという贅沢な行為だけで飯を食っていくことなど、よほどの才能のあるほんの一握りの人にしか許されないことだと、僕はずっと昔から思ってきた。僕は「モノを書く」のが好きだけれど、それは非営利行為だと割り切っている。

生計を立てる道は別で作れ、「中途半端なモノを書く」ことなんかで飯を食っていけるなんて考えるな、というのが、「The democratization of publishing」時代の教訓だと、僕は考えている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

5

> (上)(下)
失礼しました。
色盲がひどくてよく見えませんでした。

「書くことで生計を立てる」ということについての回答も頂きたかったのですが、梅田さんがそのような考えをもつこと自体は尊重していますので、まあ今回は諦めます。blogについては、それ以前の問題が多々出てきていることですし。

  biker on 2003/09/04

4

「ウェブログで生計を立てるジャーナリスト、成功の秘訣を語る」(上)(下) へのリンクはちゃんと張ってあります。ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、上というところと下というところをクリックすれば原文に飛びます。

  Mochio Umeda on 2003/08/13

3

最後の記述には悲しささえ覚えました。
梅田さんが諦めたことに対しては何の意見を言うつもりもないのですが、世界すべてをあなたの尺度で見て、提言のようにも取れる発言をすることに対してはどうかと思います。その一握りになった人が言うならまだしも、ですが。

blogとは少し違いますが、
http://www.redpaper.com/
↑このようなものも出てきています。

どこかの記事や本のコピーや丸写しではなく、誰かの真似事でもなく、自分の言葉で書いたものならば、誰が何と言おうとも、読まれていくはずですよ。
さらに、そこに金銭が発生しようとも、読みたい人にとっては大した問題ではありません。

フリー・ソフトやオープン・ソースの歩んできた歴史、近年の携帯電話の発展などを見ていても、そういうことは読み取れます。

もう一つ気になったことは、Hotwired Japan の「ウェブログで生計を立てるジャーナリスト、成功の秘訣を語る」(上)(下) という記事に懐疑的な意見を述べているからか、リンクが張られていないことです。
これは…?

いずれにせよ、『書く』ことで、それなりの生活をするというのは、誰にでも可能です。
大切なのは、書くか、書かないか、それだけです。
そこに金銭が絡むならば、動くか、動かないか、それだけです。

  biker on 2003/08/13

2

こんにちは。初めまして。
ご存じかと思いますが、そもそも日本のライターは、米国の10〜5分の1の原稿料しかもらえません。もちろんフリーでやっているライターは生活できない。かつドネーションの文化も定着しているとは言い難い。そういう背景からすれば、この記事の内容はもっともだと思います。いわゆるblog的なお手軽記事じゃなくても。
しかし、それでも最後の「中途半端にモノを書いても商売にはならない」で、結局、中途半端な物書きを否定するどころから、「文章を書くのが好きで、組織がいや。好きなことをやって自分だけ稼いで2〜3年続けばいい」と物書き自体を揶揄したり、皮膚感覚だけで「商売で文章書くなと、考えている」と締められているのには疑問を感じます。
要するにマスに対する提言みたいな視点で書かれているのだと察しますが、物書きとして、現在の腐敗に近い構造を戦略的に立て直そうと虎視眈々としている人は沢山いますし、目立たないながらもITベンチャー企業などの数倍のサラリーを作っている人も沢山います。そういった目立たないやり手の可能性を塞ぐような発言に少し心が痛みました。(物書きはblogとかメタデータ配信などに可能性を見いだし始めているのですよ。それに期待する気持ちは普通の人より格段に強い)

  maskin on 2003/08/05

1

いつも拝読しております。

最後の個人的感想、全く同感です。これからブログの周辺がどんな状況になっていくのか、仮定する以外、思いもよりません。

しかし、ブログの初期の性格からして、営利では回らないと割り切るべき筋合いのものだということだけはわかります。

ブログが営利で回っていかないということを私なりに考えてみました。もちろん、上記のように仮定の域を出ないのですが、お付き合いください。

まず、現在進行中の状況を把握しようと思います。

ブログが乱立する状況において、発信される情報量がさらに多くなれば、単純に考えても、探したい情報、すなわち価値の高い情報は埋もれてしまうかもしれません。まずこのように、発見自体されにくい状況が想像できます。

次に、情報がいかに多くなろうと、確実に見つけることができる状況を仮においてみます。

そういう状況下で、通常の経済で言う、希少価値が高い情報が一つあるとします。けれども、その周りによく似た、しかし信憑性ですこし劣る情報が衛星のように存在しているとします。すると、仮に発見に成功しても、中心的なその情報ですら、相対的に価値は薄まります。

情報が氾濫して、何がなんだかわからなくなるような上記の状況、すなわち、みなが出版者になるということの意味は、結局、単に書き手の総数が増えるというくらいの意味であろうと思われます。それらがみなハイクオリティなわけがないです。

この、情報のクオリティがハイかローかという二分法自体、金儲けできないかという思考を連想させます。というのも、情報の優劣をつけるということは、文字通りですが、情報の分野でも競争原理が働くことを含意するからです。価値が高ければ、そこには金が動くという判断が働く。

そういう混乱した中で、金を払っても良いから読みたいと思わせるには説得力があることと、肩書きや出版社などの一定の権威付けがあることが必要でしょう。

ただ権威に関わる問題があります。権威そのものの効用はある程度認めるものの、権威を無批判に礼賛する手合いがいて、私はそういう手合いが嫌いです。往々にして権威にすがりすぎると思考停止になり、次の発展が遅れるからです。

しかしこの場合、ブログが広まっていくこと自体が、情報の質を担保する「土壌」として必要なのだと考えるべきと思うのです。とすれば、ブログが権威を経由しようと、何よりも優先して、世の中に認知されていくことが重要なことかもしれません。私はブログに民主的な可能性を見ているからです。

私が権威主義者を嫌いとしても、それらの人びとがどういう世界観を持つかまでは私から云々できない。くやしいですが、ブログの可能性を是とするなら仕方ないだろうと思います。

言い方は悪いですが、くだらないブログがあることが担保されて初めて、単に量だけある中に、質あるブログが生まれてくるのだと信じたいです。

現実世界で表現の自由がありますが、それは対価を得ることなしに成立するのが本来です。「対価を得ることも可」であるにすぎないのです。

これまでの言い換えになりますが、そろそろまとめる努力をします。

結局、総体的に見るなら、ブログが流通することで起こることは、情報が今まで以上に氾濫するという事態だけなのかもしれません。なぜなら、量が増えていくことに、質が増えていくことがキャッチアップしていくとは思えないからです。

それでも、私は楽観的です。前述したこととも重なりますが、ある人の思考の体系に基づいて練られた文章が有志でネット上に次々立ち上がる状況は、とても建設的だと思っているからです。それは表現の一手法であり、金をとることを目指すなら、ブログという形以外の既存の効率的サービスを目指せばいいと思います。

ブログは、建前だらけの現実社会を、一貫して、ある他人の視点から吟味できる手段です。「その人物の価値観に照らせばどう見えるのか」という体系化を垣間見ることが出来る。むろん、読んだ後、賛否を自分で決めることは誰からも指図されないのは当然です。これらのことは会話ではイライラしたり、双方の思惑がからんだりしてなかなか出来ないことです。

今回に限らず何度かご指摘がありましたが、ブログを立ち上げたり、それを読みにきたりという営為は任意で自発的なものです。だから、自発という言葉から掛けるわけではないですが、ボランティアなものとなるのが自然だと思います。

それが本筋とはいえ、やはり、著名な学者や経営者、コラムニストなどのブログが存在すればそこがにぎわうのも必定かもしれません。

それはさっき申しましたとおり、彼らの思考の体系が説得力を持つのと同様、「これまでの功績」というものが彼らに一定の権威を与えているからです。

ただ、前述したこととの整合性のため、あるいは誤解が生じないように付け足します。

私は無条件で権威を嫌うというのではないです。既得権益を守るべくあぐらをかく権威と、それに付和雷同する礼賛者が嫌いだということを表明したのみです。ですから、人を導こうとする立場におられる教養ある人に権威が認められるということは、むしろ推奨されるべきだと考えています。これはブログの世界でも当てはまります。

亜流の権威(?)で言うとアイドルやタレントなどのブログなども考えられますが、そこには体系化されたものが何ら存在しないことが多いでしょうから(全くないとは言い切れないですけど)、それらはブログの中でも別文化を築くのかもしれません。しかし、それはもうブログではないかもしれません。

長くなってすみません。総じて、ブログは視点を得たり自己陶冶をしたり、現実を捉える手法をさまざまな言論人から得たりという目的で行使されるので、売買が行われる書店というよりは、国公市立の図書館のようなものをイメージすべきだと思います(以前のコラムで散見した喩えを拝借しているかもしれませんが)。

無償ということで図書館を例に出しましたが、とはいえ、ブログは「国家の介入すら要していない」という点、従来の活動よりもより民主的な点に私はとても希望を見出します。

以上のことから、ご意見に賛同いたします。

お付き合いくださりありがとうございました。



  masayama8 on 2003/07/30

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