最終更新時刻:2008年9月5日(金) 23時13分

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この連載を毎日書き続けられる秘訣を明かそう

公開日時:
2003/04/30 10:00
著者:
umeda

毎日更新というやや無謀な連載企画も、無事に4週間続けることができた。日本のゴールデンウィークにあわせて5月6日まで休みますが、連休の間に、読者の方々からいただいた質問に答えておくことにしたい。「毎日の英文記事(題材)をどうやって選んでいるのか」という質問である。

その問いに答えるには、僕の職業について少し話をしておかなければならない。この連載は、僕がシリコンバレーでプロとして生きていくために毎日続けている基礎体力トレーニングの副産物として位置づけられるからだ。

僕の本業(営利活動)は、MUSE Associates(日本企業のトップマネジメントに対するコンサルティング)とPacifica Fund(ベンチャーキャピタル)の2つの仕事であり、モノを書くことと「日本人一万人シリコンバレー移住計画」というNPOは、自己実現と社会貢献の間みたいな非営利の活動である。

MUSEとPacificaの仕事(特にPacifica)は、ミクロな情報に接する機会が多い。たとえばベンチャー企業や大企業の事業部門というのは、とにかく自分がやっているたった一つのことに賭ける存在であるから、マクロな話は迂遠である。だから昼間のビジネスアワーに接する情報は、ミクロの話が大半である。

日々の業務で接しないからこそマクロな情報を気にかける

しかし、ミクロの話ばかりに埋没すると、世界がどこに向かっているのかよくわからなくなる。またミクロの情報で誰かと競争しようとすると、ものすごく狭い分野の専門性を極めなければならない。職業柄そういうミクロな方向に自分をシフトしていくことができないので、どうしても、マクロの勉強を、日常業務から離れたところで定期的にやらなければならない。そう気がついてから、もう10年以上が経ち、勉強法を工夫しながらこれまでやってきた。特にインターネットの進歩に合わせて、勉強法は日々変化しているが、2003年4月現在のやり方は次の通りである。

ちなみに、僕は朝型人間なので、だいたい毎朝5時から9時くらいまでをこのマクロの勉強の時間に充てている。土日も時間は少し短いが休まないので、週に20時間から25時間をこの作業に充てていることになる。

毎朝必ず目を通す情報源

毎朝まず目を通すのが、San Jose Mercury NewsNew York TimesWall Street Journalである。次に目を通すのが、僕と関心領域が近い頻繁に更新されて質の高いBlogを75個ほど。それ以上はなかなか毎日見られないので、「BLOG一軍」「BLOG二軍」「BLOG三軍」と名をつけた「お気に入り」のフォルダーを用意して、入れ替え戦を始終やり「BLOG一軍」を75個前後に保つようにしている。一軍のBLOGもつまらなくなったら二軍に落とす。三軍でも面白くなれば一軍に引っ張りあげるわけだ。そうやっていつも「BLOG一軍」の質をキープして時間をセーブする。僕の個人サイトのブックマークには数ヶ月前に作ったBLOGサイトのリストが載せてあるが、そのうちの三分の一くらいはまだ「一軍」に残っている。

BLOGというのは「Weblog」が原義であることからも当然なのだが、興味深いサイトへのリンク(特に新しい情報へのリンクを皆が競い合うように張ってくれる)の宝庫であるから、75人の興味を同じくする一流の連中がアップデートする内容をベースに、そのリンク先をたどっていくのはものすごく効率がいい。昨年後半からのBLOGブーム以来、僕の勉強法は一変してしまったのだ。

その次に目を通すのは、原則毎日更新の商業サイトである。地方新聞だったり専門ニュースサイトだったりする。AlwaysOnワシントンポストボストングローブLAタイムズシアトルポスト-インテリジェンサーMSN SlateFinancial TimesCNET News.comZDNetWiredといったところ。ただ、最近は、BLOGからのリンクをたどっていくやり方で、こうしたサイトの意味ある記事の半分くらいへは、先にアクセスしてしまうようになっている。

「目を通す」というのは、「読む」のではない。「選ぶ」ということである。英語の速読ができない日本人(僕ももちろんそう)は、読むものを選ばなければならない、というのが、僕の勉強法の基本コンセプトである。だから、読む価値のあるものを、「読まずに選ぶ」作業が、「目を通す」ということである。

だいたいこのくらい「目を通す」と、そこまでで毎日20個くらい「読む価値のあるもの」が選ばれてくる。「選ぶ」のは「お気に入り」に追加していけばいいわけで、便利な時代になったものだ。

質の高い専門サイト

さらに、毎日ではないが、3、4日に1回は、質の高い専門サイト(毎日更新ではない)を巡回して「目を通す」。

Business 2.0Fast CompanyCIO InsightInfoworld802.11 PlanetTechnology ReviewTCS(Tech Central Station)SalonEconomistFortuneForbesBusiness WeekNewsweekHBS Working KnowledgeStrategy+BusinessEE TimesSilicon StrategiesINC magazineといったところがその一例である。

それに加えて、メールマガジンで届くものを、やはり数日に1回まとめて「目を通す」。CoranteのTech Newsメールマガジンは僕の嗜好に合うようで、最近はよく使っている。

そしてだいたい1週間に1回、「BLOG二軍」と「BLOG三軍」を150個くらい見に行く。プロ野球のスカウトが、ファームに出かけていっていいボールを投げるピッチャーを探すみたいな作業である。

Googleを使って肉声を拾う

あと、この人はウォッチしておきたいなと思う人でBLOGを書いていない人の肉声を拾うこと。これも週に1回行なう作業である。David Coursey、Stewart Alsop、Clay Shirky、David Isenberg、William Gurleyといった連中についてだ。だいたい僕の頭の中には20人くらいこういう人のリストがあり、それに対してもいつも「入れ替え戦」をやって質をキープするようにしている。このウォッチング作業にはGoogleやGoogle Newsやコンファレンスの案内サイトを使うこともある。AlwaysOnはこの文脈で役に立つなかなかいい新しいサイトである。

こうして「目を通す」作業というのは、「考える」作業を伴うので、非常にいい。読んでしまうと考えなくなるから、できるだけ読まずに「目を通しながら考える」のが重要である。自分の「Point of View」についての仮説を作りながら「目を通す」わけである。

この「目を通しながら考える」作業から、週にだいたい150本くらいの記事やエッセイや論考やBLOGが選ばれる。

「Point of View」は借り物ではだめ

ちなみに、大きなコンサルティング会社に勤めていた頃は、ここまでの作業を若いアナリストにやらせるという試みをしてみたことがある(普通はみんなそうする)。でもダメなのですね、ここを自分でやらないと。結局、誰かが選んだものを読んでいるだけでは、新聞や雑誌を読んでいるのと全く変わらず「Point of View」が借り物になるのである。

さて、こうして選ばれたものの中から、興味ある順番に読んでいくわけだが、このうちの半分は凡庸な内容であることが多い。タイトルが上手につけられていたり、ホットな話題の三題話でも突っ込みが甘かったり、視点が陳腐であるものを除外していく。そんなふうにして残るのが、1日平均10本くらいだろうか。

その中から、CNET Japanの読者にとって意味のある内容が含まれていそうなものを選んで原稿を書くというのが、副産物としての最後の作業である(連載を始めて負荷が増えたのはこの部分)。あまり難解なものばかりでもまずいし、新鮮な話ならば分析の浅さには目をつぶったり、テーマが近接するものを「合わせて1本」にまとめてみたり、テーマもばらついたほうがいいという意味でのバラエティも一応考えて選ぶ。

つまり、この「英語で読むITトレンド」連載の場合、週にだいたい1000個くらいの意味がありそうなものに「目を通し」、それを150個くらいに落とし、さらにそれを50個(1日10個)に落として、最後に5つ(1日1個)にまとめているわけです。これが冒頭の質問に対する回答。

ベンチャー投資の場合も、1000社くらいのビジネスプランを見て、100社くらいの会社に会い、そのうちDD(Due Diligence)に向かうのが20社から30社。その中から投資までいくのが3社から5社、という感じでやれれば、まぁまぁいい仕事をしていることになる。

ベンチャー投資も、1日1本の題材を選んで原稿を書くのも、母数をたくさん見てそれなりにきちんと時間をかければ、自然に何かが生まれてくるものなのではないか、と、まぁ今のところそう信じて仕事をしているわけである。

それだけやってこの程度かと思われるとすれば恥ずかしい限りだが、興味のある方は、連休の間に、今月のアーカイブから、関心領域がシンクロするものだけでもぜひ原文に当たりながら読んでみてください。ではまた5月6日に。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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