最終更新時刻:2008年11月19日(水) 22時42分

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携帯電話のユーザー・エクスペリエンスは誰が責任を持つべきか

公開日時:
2006/04/11 07:58
著者:
中島聡

 私は、以前から「携帯電話のユーザー・インターフェイスはデバイスメーカーではなく、通信事業者がウェブ・アプリケーションとしてネットワークを通じて提供すべき」と主張してきたのだが、今年になってやっとそれを実現することに成功した。

 例えば日本のユーザーがDoCoMoから携帯電話を購入する場合、携帯電話の提供者はデバイスを作っているPanasonicやNECではなく、あくまでDoCoMoである。ユーザーは、DoCoMoの提供するさまざまなサービスと携帯電話のユーザーインターフェイスをすべてひっくるめたものをDoCoMoから買っているのであり、そのトータルのユーザー・エクスペリエンスに責任を持つべきはDoCoMoである。にもかかわらず、そのユーザー・エクスペリエンスで最も重要な役割を果たすユーザー・インターフェイスを、各デバイスメーカーに任せてしまって良いとは思えないのだ。

 ご存知のように、セブン・イレブンは基本的に直営ではなく、フランチャイズである。それぞれの店舗はセブン・イレブン・ジャパンではなく、別々のオーナーがおり、その人たちがアルバイトを雇って経営しているのだ。しかし、店舗に訪れる我々から見れば、そんなことは関係ない。セブン・イレブンであるかぎり、誰がオーナーであろうと、同一のサービス、同一の品揃え、同一の店舗デザイン、つまり「セブン・イレブンのユーザー・エクスペリエンス」を期待するのである。

 そう考えれば、携帯電話事業者もセブン・イレブン・ジャパンと同じく、デバイスのユーザー・インターフェイスも含めたトータルでのユーザー・エクスペリエンスに責任を持つべきだと思うのだ。

 この話は以前から米国の携帯電話事業者と話し合って来たのだが、過去のしがらみやデバイスメーカーとの力関係の問題もあり、なかなか実現しなかった。しかし、今年になって、やっとそれを一緒になって実現してくれるパートナーを見つけることができた。MVNOのさきがけとして北米で最も注目されている、mobile ESPNである。

 MVNOとはMobile Virtual Network Operatorの略。既存の携帯電話事業者から無線通信網を借り受け、自社ブランドで携帯電話サービスとして提供するビジネスのことである。

 MVNOという発想は昔からあったのだが、去年あたりから注目が高まっているは、音声通話のコモディティ化(つまり低価格化)をデータ通信からの収益でなんとか補おうとする携帯電話事業社の思惑と、ESPNやDisneyのように強いブランド力を持ったメディア会社がデバイスやネットワークをまたいでユーザーを抱え込もうという思惑がうまく合致しているからだと私は解釈している。

 MVNO側としては通信網を卸売りしてもらっている以上、値段では勝負ができない。当然、サービスで差別化をはからざるをえないのだが、そこで重要になるのがデバイスのユーザーインター・フェイス、さまざまなウェブ・サービス、そしてそれらを全てひっくるめたトータルでのユーザー・エクスペリエンスである。

 何年も前からこの方向を目指していた弊社としては、ESPNがMVNOビジネスに参入すると耳に入れたときから、「スポーツ・ファンに特化したユーザー・エクスペリエンスを提供すること」の重要性を訴え続け、UIEngineを使って彼らの携帯電話のユーザーインターフェイスをインタラクティブなウェブ・アプリケーションとして共同開発することに価値を見出してもらうことに成功したのである。

 さまざまなスポーツの結果や選手のデータだけでなく、リアルタイム・スコアの中継からビデオまで、北米のスポーツ・ファンであれば、すぐにでも手に入れたくなるようなサービスを、テレビのチャンネルを切り替えるような手軽さで簡単にアクセスできるのである。ことスポーツ・ファン向けのユーザー・インターフェイスと言う意味では、現時点で世界のどの携帯電話よりも心地よいユーザー・エクスペリエンスを提供するものを作ることができたと自負している。

 MVNOというビジネス・モデルそのものがうまく行くかどうかは、まだ多くの疑問が残るところではあるが、これをキッカケに、ユーザー・エクスペリエンスの重要性、そしてそれの責任を持つべきは携帯電話事業者だということの理解が深まること期待している。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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