最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

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「タレントのロングテール」 対談5 「メディア:ブログ 前編」

公開日時:
2007/03/26 17:55
著者:
宮田拓弥

 今年の携帯電話各社の春モデルのラインアップを見てみると、かなり「ワンセグ」機能がプッシュされているようです。発売当初に比べればグンと画質も良くなっていますし、実際に昨年の販売統計などではワンセグ付きの機種の売れ行きが好調で、消費者の機種の選択理由の上位にもワンセグ機能が挙げられています。ただ実際ワンセグ機能を手にしてみるとどうでしょう、私もサービス開始直後にワンセグ機能のついた端末を使っていましたが、打ち合わせの途中にみんなでWBC(ワールドベースボールクラッシック)を観たくらいで、なかなか携帯の小さな画面でテレビを観るタイミングを見つけるのは難しかったような気がします。

 一方で、実際に利用を伸ばしていると言えそうなのが、PCでもおなじみの「ブログ」や「SNS」などのユーザ参加型のメディアです。ブログ経験者の8割以上はすでにモバイルからのエントリー登録を経験しているというような統計もあるようです。昔から掲示板などのサービスはありましたが、PCと連動しているものなどサービスの選択肢も増え、認知度も高まっているということでしょうか。

 今回は、こうした「メディア」全般をテーマとして取り上げようと思います。

 携帯電話には、テレビ放送を受信できるワンセグ機能も付いており、PC向けのインターネットが閲覧できるフルブラウザーもあるという中で、シンプルに一つの使い方、メディアに集約されるというよりは(今もすでに違いますが)、利用者の属性やシーンによって使い分けられるという形になっていくものと思います。特に、携帯電話の場合は、同じインターネット接続デバイスであるPCと比較した場合でも、利用者の属性が非常に幅広く、小中学生やシニアの方々もターゲットに入るということが大きな特徴になるような気がしています。そういう意味では家庭に一台のテレビと比較できるくらい、利用者層が幅広いのがモバイルインターネットです。

 今回からは、こうしたモバイル「メディア」に関しての今を知り、今後への展望を考える意味で、二つの特徴的なサービスを展開している事業者の担当者の方に話を伺いたいと思います。最初に紹介するのは、今や最大のブログサービスになったサイバーエージェントの「アメブロ」のモバイルチームです。ユーザ参加型メディアの代表格であるブログがモバイルからどのように使われているのか、サービス事業者としてどんな展開を考えているのか、などについて伺いたいと思います。もう一つが、PCの世界でもSecond Lifeが大きな注目を集めているバーチャル空間でのコミュニケーションサービス、「S!タウン」を展開されるソフトバンクモバイルです。PCでのSecond Lifeは日本でも大きな注目を集めており、その上で様々なビジネスやサービスが展開され始めていますが、「S!タウン」はいわばそのモバイル版と言えるようなものです。ソフトバンクモバイルが、キャリアという立場でこのような新しいサービスを立ち上げるに至った動機や利用の現状などに関してお話を伺おうと思います。

 今回は、ブログサービスの大手、サイバーエージェントのアメブロのチームとのお話の前編です。
 アメブロ全体のインフラ担当の長瀬さん、企画担当の平田さん、モバイルの全体統括の立川さんにお話を伺いました。

■PCの半分まできた「モブログ」:ブログNo.1サイト「アメブロ」

宮田 PCから始まった御社のブログサービス「アメブロ」ですが、モバイルでもアクセスが急速に伸びてきていると伺っています。現在モバイルからのアクセスの比率はどの程度になっていますか?

平田 現状で、大体、PCとモバイルが2:1くらいの比率になるまで、モバイルが急速に伸びて来ています。

立川 去年の7月にモバイルのリニューアルを行い、大きく梃入れをしました。その当時は、10:1くらいでしたら、本当にここ一年で急速に伸びています。


サイバーエージェント 平田氏(企画担当)

宮田 PCとモバイルでユーザ層やその使い方などに違いはありますか?

平田 ユーザ層という意味では、モバイルでもPCと大きな違いはなく、当初の中心だった30代から最近では20代前半の女性の急増が目立っています。モバイルで特徴的なのは、「夜の11〜12時頃」と「週末」のアクセスがぐんと伸びるという点です。この辺はPCとは大分異なり、週末出かけている途中やベッドの中で寝る前にブログをチェックするという使い方が多いと考えています。それと、記事投稿数がすごく伸びたっていうのも特徴です。PCだと週に3回更新すると「かなりアクティブ」というように理解をしていたのですが、モバイルでは短い文章を1日に3回、4回とアップするユーザがかなり多くなっています。

長瀬 例えば、書き込み自体の質でいうと、SNSに近い様な内容になってきていると感じています。PCでいうと匿名でみんなに知識を公開するとか共有するとかいう内容が多かったと感じているのですが、モバイルではもっと日記に近い上げ方が大分増えてきているような気がします。

宮田 TBSで現在もドラマが放映されている「きらきら研修医」のようにアメブロ発で生み出されたコンテンツは「匿名性ゆえ」に広がったものも多いと思います。モバイルでは、ユーザがより自分を前に出した形の書き方、語りかけみたいな内容が増えてきたということでしょうか?

長瀬 はい。我々自体もモバイル側の機能追加とかサービスの進化を考える場合、PCとは全く違うコンセプトでやっています。もちろんバックエンドとしては同じ情報を持つんですが、ユーザインターフェースの部分はガラッと変えています。例えば、PCでいう「メッセージ機能」がモバイルでは「プチメ」だったり。このとき、我々としてもソーシャルとかつながり感を重視していて、特に年齢が若い方に関していうと、自分の顔写真やプロフィールの公開も抵抗がない感じですね。「ブログ」であるとか、「SNS」であるとかといこだわりは感じられません。自分のメディアというか自分の持ち物としてやっている感はあるので顔を公開するということに対する抵抗感ってのは、30代以上の方の感覚とは大分違うようです。


サイバーエージェント 長瀬氏(アメブロ全体 インフラ担当)

■動画の利用はまだほとんどなし:携帯による動画投稿

宮田 御社が力を入れられているサービスの一つがユーザによる「動画」投稿だと思うのですが、現状はどのような使われ方をしていますか?

長瀬 昨年末に、メールに動画を添付して投稿出来る機能をリリースしました。しかし、実際の利用数でいうと殆どないというのが現状です。投稿だけでなく、閲覧自体もモバイルではあまり盛り上がっていません。まだ、使い方自体がわからないっていう人も多いというのが現状だと思っています。

宮田 なるほど。米国ではかなり携帯カメラを使った動画投稿が増えていると聞いていたので意外ですね。それでは、モバイルで人気のあるコンテンツというとどんなものになりますか?

立川 「ユーザ参加型」の企画が1番響きやすいです。以前、若い世代向けに「あなたの身近なイケメンの写真を撮って投稿してください」という企画をやったのですが、これはかなり盛り上がりました。若い世代は、みんな自分の思いを伝えたい、主張したいという部分が多いようで、「バレンタイン特集」のときでも、「好きな人に対して告白の練習をしてください」というコーナーを設けたところ、そこで大勢のユーザが思い思いに告白のフレーズを書き込んでいました。誰が見ているのは分からないのですが、自分が言いたいことを書いて、かつ他の人を見て共感しあって、自分もまた書いちゃうみたいな・・・


サイバーエージェント 立川氏(モバイル全体統括)

宮田 ビジネスモデルとしてはどうお考えですか?やはり広告が中心でしょうか?

長瀬 広告だけは正直厳しいので、会費など様々なものとのハイブリットでいくということになりそうです。

平田 広告の展開でいうと、枠展開というよりはブロガーを絡める部分をシステム化していくというところに力を入れています。純粋にPVでいくらという売り方ではなかなか難しいです。例えば、ブロガーを集めて開催するオフ会事態を商品化するというのを考えています。オフ会に集まったブロガー達に新商品のサンプリングをしてもらって、その感想をブログを書いてもらう、というようなものですね。そうした企業さんとのタイアップ的なものはいろいろとテストしていこうと思います。

宮田 アフィリエイトに関してはどうお考えですか?画面の小さなモバイルではなかなかアフィリエイトは難しいというのは一般的な議論としてはありますが。

平田 うちはもともとアフィリエイトが無かったブログサービスだったこともあり、モバイルにおいても絶対数としては少ないのが現状であります。とはいえ、ドロップシッピングなどには期待をしており、今後に向けて物流面などを整備している段階です。また、例えば本やDVDなどブログで紹介しやすいジャンルのものは成果としては高い物になっています。むやみにジャンルを広げても、ブログの記事に書いたところで売れなければ仕方がないので。

■ロングテール化するタレント

宮田 もう一つ御社のサイトを拝見していて特徴だと思ったのが、有名人の方のブログが非常に多いですよね。

長瀬 米国でのマイスペースさんのように、アーティストさん自身が自己表現できる様なスペースを、ブログの一つ上位概念にもっていく事を目指しています。マイスペースのようなメディアのポジションに、日本のメディア企業で一番近い所に居るのは当社だと思います。そこで、PCでマイスペースがやった様な物以外に、モバイル独自のインターフェイスのサービスを開発しています。例えば、アメブロをモバイルならではのファンクラブ的なものにしていき、そのアーティストの更新情報が定期的にメールでもらえたり、イベント情報や独自の情報が都度貰えるというようなことを考えています。ビジネス的には、会費をユーザからもらうということもあるでしょうし、事務所さんの方からファンクラブ運営費的にお金をもらうということも考えています。ファンが非常に沢山いるタレントさんであれば独自でモバイルサイトを運営することもできるのですが、ファンが300人とかしか居ない様なタレントさんに対しても、アメブロがファンクラブプラットフォームですと言って自由に活動ができるというのを目指しています。これからは、アメブロから流行ったタレントというのを今後どんどん出して行きたいですね。

宮田 さっきサイトを拝見していて、名前は知らない選手でしたが、サッカー選手の遠征先での休養日のちょっとした動画がアップされていました。自分の好きな選手や芸能人の日常が垣間見えるようなコンテンツはファンからするとたまらないでしょうね。こういう動画は、実際に選手の方が撮影して、アップされているんですか?

平田 はい。選手の方が自分で撮影されています。最初はどなたも操作に苦労するのですが、情報を発信するということに関しての興味は皆さんすごいあるので、サポート側で随時操作方法を説明して少しずつ慣れていってもらえば後はご自身でやっていただけています。まだボリュームとして少ないっていうのはそういう問題がまだまだあるんだと思うのですが、これから増えていくと思います。

宮田 今の感覚では当たり前かもしれないのですけど、有名人が自分の日常を自分でビデオに撮ってサイトで公開をしているということ自体すごいことだと思いますけど。全然メジャーじゃないスポーツ選手やタレントさんだったら、こういう自分のファンサイト的なものが簡単に作れてかつファンとつながれるとしたら喜んでやるでしょうね。

平田 最近は、タレントもやっぱりロングテールなんですよね。一般のブログのランキングと同じように、タレントさんのランキングも設けているのですが、たまに「この人誰だ?」みたいな方がすごい上のランキングにいたりするんですよ。例えば、大学のミスコンで読者モデルみたいな事をやってた子で、ぜんぜん知名度がない子が、普通にタレントランキングの10位の中に入ってきたりすることもあります。

宮田 原因はなんですか?飛びぬけて可愛いとか?

平田 まずユーザとのコミュニケーションがうまいですね。いわゆる質問コーナーでも、普通に回答するだけでなくて、自分でイベント仕立てにしてみたりすることで、うまくユーザとつながっている感じです。その結果として、噂が噂を呼んで「誰だ?あれ」というような感じになって、いつの間にかはくが付くというような。逆に普通の子だけに、「何でこんなに人気が出てるんだ」というところで話題になったり。最近では、その結果としてそこから芸能事務所さんが興味を持つというケースも出てきています。今度、原宿に「アメスタ」といスタジオをオープンとしてそこで番組作りなどもやっていくので、今後こうして人気の出てきた子をアメスタを登竜門として、そこを潜り抜けたら事務所さんに紹介していくなんていうのもできるかもしれませんね。

宮田 既存のタレントさんをコンテンツ化するだけじゃなく、芸能人自体がブログから生まれてくる(一昔前でいうネットアイドル)ということですね。なるほど。おもしろいですね。

平田 今だと、アナウンサーになりたい大学生はまずテレビ局を受けると思うんですけど、そうではなくて「アメスタ」も選択肢としてあるぞと。ブログという切り口で、最初はみんなに平等にチャンスを与えて、実際に人気がでればその先のステップにあがっていけるという。

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後編はこちら

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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