皆さんは、一体「e-Japan戦略」というガバメンタル・スローガンに対してどのくらいアンテナを張られてるんでしょうか。
e-Japan時代の情報政策(上):ソフトウェア産業の3つの課題:経済産業省 村上敬亮氏
村上さんとはつい先日、酒席で語らせていただく機会があったのですが、軽妙な語り口でズバズバと切れ味のよい発言をされ、話していてとても気持ちのいい方でした。上記のインタビューも面白いのでぜひ本文を当たってみてください。
曰く、1970年代以降の情報政策史の視点から見て、政策主導のIT産業の振興は80年代中盤から空振りが目立つようになってきたと。そして、1990年代後半の「IT革命」ブームとYahoo BB以降のブロードバンド旋風が追い風となって政策パッケージとしてのe-Japanが一定の成果を上げ、目に見えやすいインフラまわりの整備はひとまず一巡した、とのことです。
アプリケーションとインフラのバランスというのは実に微妙なもので、互いに需要を刺激しながら成長するものです。ひとまずインフラの浸透にフォーカスしたという第一段階の進め方は、一部で箱モノ主義的と揶揄されたりもしましたが、結果的にタイミングよく高得点に値する成果を残したと言えるでしょう。
では次に、そのインフラにどういうアプリケーションを載せていくのか。
ただ、この2年くらいの課題というのは、これだけインフラが整備されても、それが本当に使われているんですか?という話です。このため、利活用を核としたe-Japan戦略Uを立案すると同時に、IT戦略本部評価専門調査会が中心となって、みんなで利活用が進まない原因をアセスしつつ、PDCAサイクルを確立しましょうと頑張っているわけです。しかし、やはり物事を動かす時って、民間でIT入れるときのBPRと同じですが、いくら理屈が素晴らしかろうが、目標を厳密に立てようが、内発的なモチベーションをセットできるような仕掛けを仕込んでおかないと動きませんね。
このくだり、ご賢察。
私は政策についてはイロハも知らないドのつく素人ですが、当事者のインセンティブが働かない場所にはエコノミーが生まれないことぐらいは理解できます。
自分のまわりの人々の価値観がどう変わってきているかをキャッチアップしておくことは、ビジネスに限らず人付き合いの基本なのだと思うのですが、意外とこういう現場の視点が軽視され、過去の経験に基づくステレオタイプな思い込みだけで方針を固めてしまうことが多いように感じています。こういう盲目さが世の中のアプリケーション不良資産を大量に生み出してしまう元凶なのでしょう。
村上さんはソフトウェア工学的な見地からもユーザーサイドにこそ質の高いアプリケーション要求仕様の管理が求められる、という趣旨のことを指摘されています。これも実のところ、仕様書を書くための標準的なダイヤグラムやメソッドを知識として持っているかどうかよりもむしろ、水準以上の感受性とコミュニケーション能力、そして人を動かす仕掛けの組み立て方のコツを掴んでますか?ということが出発点で、スキルセットはその上にあるんだよということなのでしょう。
そして話題はEnterprise Architecure(EA)へ。
実業志向を取った以上、最後は世の中を動かすのは理屈ではなくて人間関係と信頼関係ですから、やっぱり2年か3年で理屈の政策だけ作っておいて、実行は担当者が変わりました、では動きません。
ITスキル標準でも「苔の一念岩をも通す」じゃないですが、私がやって情報経済課に異動した後には久米(孝氏:情報処理振興課課長補佐)が引き継いでやってますし、EAだってささやかながら2年前に始めてなんとか自分外までも粘っているから、民間企業もコケるかどうか50/50だけど、とりあえずポートフォリオ張っとくかということになっているわけです。そうしないと、EAという政策戦略がたとえどれほど正しいものであったとしても、例えばこの間に3人の担当者がバラバラにやっていたら、グーグルで検索してEAで41000件もヒットするなんてことにはならなかったでしょう。
うーん、確信犯ですね。嘘も極めれば真となる、という長期スタイルのマーケティングの極意を垣間見た気分です。(笑)
実のところ村上さんご自身は表の意味でも裏の意味でもEAは吹聴に値すると考えられているようで、世論が賛否どちらに転んでも結論はそう違わないはずで、どうせどう転ぶかなんて判らないのだから粗々でも思い切ってガラガラポンとやってみよう、ということのようです。こういう、半ば狡猾とさえ思える実利志向の考え方は素敵です。
というわけで(?)、アンチから一転、私もこれからEAをアジることにしましたんで、そこんところよろしく。
さて、以下余談。以前にも
というエントリでお知らせしました、私の書いた短編が『新潮』9月特大号に掲載されました。
「白紙のコンピューター文学」というタイトルの短編です。
ご感想をメールなどでいただけると、とても嬉しいです。
♪ The Brecker Brothers / Some Skunk Funk
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整備の進んだインフラの利活用が進まない!
リテラシーとしてアナログ利活用が非常に得意な日本人だっただけに、
デジタルはまだまだ、と言うより半永遠にハードルが高い状況が続く可能性がある。
どこぞの自治体の電子ポータル計画を見ても、既存の手段:アナログは、
有効なままですよというのをむしろ売りにしているような状況だ。
違うな。これでは日本の電子政府は失敗すると多くの人が危惧し始めた。
一元化でなく多元化に向かう今の指向性では生産性はかえって降下するし、
情報そのものが益々危険にさらされることになる。
(デジタル変換作業が介在し、情報公共性が高まらない。)
下記、正直驚いたが、こういう指向性を持たない限り、
電子政府は壮大なる無駄に終わる。
フィンランド元運輸通信相「電子政府で新市場育つ」
「電子政府・電子自治体戦略会議」(日本経済新聞社主催)で基調講演するため来日し
た、
フィンランド放送協会テレビ局長のオッリ・ぺッカ・ヘイノネン元運輸通信相が日本経済
新聞のインタビューに応じた。
ヘイノネン氏はフィンランドの情報技術(IT)への取り組みを説明、日本もITで競争力を
強化する必要があると指摘した。
主なやり取りは以下の通り。
1−フィンランドはIT先進国。電子政府も進んでいる。
「運輸通信相時代に、通信市場の開放と行政手続きの電子化を進めた。
今では税金の確定申告も行政側が勤務先や銀行などから必要な情報を集めて書類を作成、
納税者は確認して署名するだけで良い。国民全員がID(身分証明)番号を持つ」
2−日本では行政や教育、医療などの電子化には抵抗が強い。個人情報保護も大きな問
題だ。
「フィンランドでも改革前は先生の三分の一が反対し、医療分野でも強い不安があっ
た。
しかし電子化により教育の質が向上し、旅行先でもすぐ治療が受けられるようになった。
政府は情報化のメリットを国民に正しく伝え、何より個人情報を扱うことに対する信頼を
得ることが大事だ」
3−情報化は失業問題も招くのではないか。
「行政職員は半数近くに減ったが、手続きの電子化で人手を介護や健康分野などに回せ
た結果だ。
また伝統産業は減ったが、携帯電話や遠隔医療など新しい市場が育った。
日本にも優れた情報技術がある。それを活用すれば、再び競争力で世界のトップになれる
と思う」
(変換 BY 読んでココ)
電子化そのものがすばらしいのではなく、それによって一元化が図られるからすばらしい
のである。
そういうコンセンサスなしに電子化を進めても、むなしいだけだ。と思うのですが。
高橋 光男
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