A9ツールバーについて
Amazonの子会社であるA9が先日ベータ版をリリースした。そのことは4月16日のポスト「AmazonがA9のベータ版を開始」で紹介した。
そのときに言及できなかったツールバーも使ってみたのだが、特に特徴らしきものはない。Diaryと言ってツールバーの下にテキストエリアが出現し、メモを書くことが出来る。他のツールバーと比べて唯一の差別化であるが、日本語はまだ文字化けした。
ひとつ気になったのはインストール時の"Terms Of Use"中に出てくる次の文章だ。
A9.COM'S TOOLBAR SERVICE COLLECTS AND STORES FULL UNIFORM RESOURCE LOCATORS ("URLS") FOR EVERY WEB PAGE THAT YOU VIEW WHILE USING THE A9.COM TOOLBAR SERVICE.
これはAlexaでも一緒だがとにかくA9のツールバーを使っている限り全てのURLがA9に送られて記録される。Googleツールバーでも「拡張機能」をオンにするとURLなどを送信するが、Googleの場合には匿名情報である。
A9ツールバーの場合にはAmazonアカウントでログインするため、どのユーザーがどのサイトを見ているかという情報が完璧に分かってしまう。これまでに個人を特定する形で情報を集めるツールバーは無かったと思うので、これは初めての試みだ。この情報を元に将来的に有益なサービスを展開するにしても、ユーザーにとっては当面かなり気持ち悪いだろう。
ECサイトはサーチエンジン頼み
どのようなECサイトであっても外部からのトラフィックは多い方が売り上げの増加が見込める。サーチエンジンからのトラフィックがなくなったら商売がダメになってしまうサイトも多いだろう。いや、全てのECサイトはサーチエンジンに頼っていると言っても過言ではないだろう。
ユーザーはオンラインで物を買う場合にどこへ行ってよいか分からない時は、とりあえずGoogleで検索するだろう。もちろん、本やDVD, CDなど明らかにいつも買っているものの場合にはAmazonなどのおなじみのサイトへ行く。
しかし、商品がマイナーになった場合にはどうしたらよいだろうか?突然どこで買ってよいか分からなくなる。そもそもオンラインで買えるのかすら分からない場合もある。そこで登場するのがやはりサーチエンジンなのだ。
ということは、何か物を買いたい場合でもユーザーの入り口はGoogleになってしまうのだ。
Amazonのように何十万点も商品を扱うようなサイトにとっても、実際にはサーチエンジンからの誘導はかなり多いと思う。例えば今手元にある本のタイトルをGoogleに入力してみよう。
Googleで検索: 「静筋」ゴルフ革命
(ちなみにこれは今をときめく宮里藍さんら3兄弟をプロゴルファーに育て上げたお父さんの宮里優さんの本だ)
面白いことに検索結果の1番目にAmazonが出てくる。ここから誘導されてAmazonで本を購入した人も絶対いるに違いない。ほとんどの書籍で似たようなことが起こる。
つまりこれはAmazonにしてみれば入り口をGoogleに握られていることを意味するのだ。
そこで"amazon.co.jp"のページがどれ位Googleに含まれているか調べて見ると、214万件だ(2004/4/19現在)。"site:amazon.co.jp"で検索すればよい。
仮にもし万が一、Googleの気まぐれでこの214万件を全てインデクスから削除したらどうなるだろうか?Amazon の売り上げは顕著に下がるだろう。さらにGoogleがインデクスに入れて欲しいならお金をくれ(つまりPaid Inclusion)と言い出したら?1件あたり10円/年でも2140万円/年、50円/年なら1億円以上になる。
Google全体の売り上げから見たらたいした事はないが、全てのECサイトに対してPaid Inclusionを行ったら相当な売り上げになるだろう。
とにかくAmazonとしては入り口を押さえられる事態を避けないとリスクが大きいと言われてしまう。そこでECサイト専門のサーチエンジンであるA9を作り、「ショッピングする時にはGoogleを使わずにこちらを使ってください」というのがAmazonの戦略であると思っていた。
それが、ふたを開けたらただの
Google + Amazon + Alexa + α
だったものだから拍子抜けしたと書いたのだ。Froogleを見よ。美しいではないか。A9はあれを超えるのではなかったのか?
YahooのProduct Search
事態はYahooにとっても同じである。ヤフーにもショッピングモールがあるがそこへのトラフィックの誘導はGoogleが多いだろう。このままではAmazonと同じリスクを抱えることになるので、Yahooは自前で"Product Search"を作った。USのYahooサーチの一番右側のタブを押してみて欲しい。
Yahoo Product Search: "golf"でサーチ
検索結果にはYahoo Shoppingのものと一般のお店(つまりYahooとパートナーシップを結んでいないサイト)の両方が混ざっている。明らかにFroogleに対抗しようとして作っている。
ショッピングサーチはお金の通り道
ショッピングサーチは単に検索結果という情報を提供するだけだが、トラフィックが多くなるとお店から見てと立派な販売チャネルとなる。つまりお店にとってなくてはならない存在になるのだ。当然、そこからお客さんが入ってくるのだからお金の通り道になる。ショッピングサーチを提供する会社はそのマージンをもらうという商売をすることができる。
今のままではショッピングサーチでもGoogleがリードしている。Yahoo, Amazonなどは上記のような理由でどう考えてもこの構図を破りたい。わざわざA9という別会社を作ったのだから、次は皆を驚かせるようなクールなプロダクトを見せてもらいたいものだ。
-inoue
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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