[ゲスト] 川野俊充 Toshimitsu Kawano
7月20日(火)〜7月23日(金)までの間、梅田望夫さんの代わりに川野俊充さんがゲストブロガーとして再び登板します。前回の川野さんのゲストブログはこちらからご覧下さい。川野さんの経歴については川野さんが運営するAbacus::blogをご覧下さい。
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サンフランシスコでorkutのラウンチパーティーに参加し、一時帰国中にはGREE Nightにも参加した。キヌガサにも招待してもらって喜んだ。こんなミーハーな私も最近はすっかりソーシャルネットワーキングサービス(SNS)にログインしなくなってしまった。これは決してサービスに不満があるからではなく、単に時間がないからだ。ものすごく楽しいけれど、必要不可欠ではない。これが発展途上であるSNSの現状だと思う。
必要だから使われるネットサービス
その一方で、時間がないからといってネット上のサービスを全く使わないかというと、もちろん、そんなことはない。Googleはもちろんのことながら、相変わらず航空券はOrbitzで買うし、ムービングセールではcraigslistに売り広告を掲示するし、一般的な商品を買うにはeBayに行くし、本はAmazon.comで買うし、パーティーはEviteでオーガナイズするし、清算や支払いにはPayPalを使う。どれも楽しい、というよりは必要だから使っている、というものばかりだ。
私がバークレー時代の友人たちと集まるときは大抵、Eviteで人を招待して、MapQuestで道順を調べて集まり、PayPalで清算をしてOfoto.comでそのときの写真を共有するという一連の手順が大体決まってますね、という話をしたところ、チャットの向こう側にいた梅田さん、山岸さんに「それらのサービスが全体としてSNS的に機能しているね」と指摘された。なるほど、言われてみると確かにその通りだ。
Eviteでパーティーを企画し、MapQuestで地図を調べる
米国でのパーティーは知り合いばかりのクローズドなものよりも、家族やカップル、友人同士で参加するオープンなものが多いためか、こうしたパーティーで友人を増やして行く事が多い。そのため、ユーザー管理が緩く、そこで企画されているイベントに新しい人を気軽に連れて行けるように工夫されているEviteは使い勝手が良いと人気だ。他にどんな人が来ているか、どんなコメントを寄せているか、どんな食べ物/話題/お土産を持ち寄るつもりなのか、などが顔写真付きで掲載されるので、新しいイベントの案内を見ているときは、さながらSNSのお友達リストをブラウズしている感覚である。行く前からわくわくするという楽しさももちろんあるが、イベントに参加すべきか判断できるという「必要性」がEviteにアカウントを作成する動機に繋がる。
EviteはMapQuestと提携をしていて、イベントの開催地を入力すると、対応する地図が自動的に呼び出される。そして、その地図表示画面から自分の居場所を入力すると運転していく道順を表示してくれるという寸法だ。全国のほとんどが田舎なのに、なぜかカーナビが普及していない米国ではこの機能が「不可欠」だ。日本人の感覚からすると、町が分散しすぎているため、地図帳を何冊も車に乗せておかないと目的地にたどり着けないからだ。
レストランの割り勘はPayPalで
さて、次はPayPalである。クレジットカードで生活をする米国人は現金をあまり持ち歩かない。私も最近はさすがに数十ドルを持ち歩くようになったが、学生時代は財布に20ドル札が1枚入っていれば多い方だった。ちょっと素敵なところでお食事会をやって、しかも家族ごと、カップルごとに支払い、なんてことになると割り勘しようにも現金が足りない、なんてことがよくある。誰かがクレジットカードで支払い、後からみんなでPayPalで清算するのが暗黙の了解だ。知らない人どうしが遠くから集まるイベントでも清算が可能になるのが個人間決済の「必要性」だ。
PayPalが予想以上に普及している1つの要因に、アカウントの作成を全てオンラインで済ます事が出来る、というのが挙げられるだろう。恐らく日本では銀行口座を使った決済業務が絡むサービスに加入する場合、アカウントの作成に必ず紙ベースの書類の提出が必要になるはずだが、PayPalでは通常必要ない。例えば、既存の銀行口座を自分のPayPalのアカウントに登録する場合、口座番号などを入力するとPayPalから2回、ランダムの額の2桁セントの入金が行われる。その4桁の数値を確認する事で、口座の本人確認を行うのである。なるほど、便利で合理的だ。この辺りは規制が絡む話なので、他の国でこの仕組みが通用するとは限らないが、ペーパーレスに対するこうした工夫があってこそのネットサービスだ。ちなみにPayPalは日本向けにもサービスを行っているので、私も可能であれば日本ベースのアカウントを作成して比較してみようと思う。
niceよりもmust
Ofotoについては日本にも似たようなサービスが多いため、改めて書く事は無いが、私のいわんとしていることは、米国でビジネスが成立している(生き残っている)ネット事業は、地味かもしれないけれど、生活様式にフィットしたmust haveなサービスを提供するという基本に忠実である、ということだ。激しくクールで楽しいサービスもnice to haveな要素の寄せ集めだけでは生き残れない。
日本のSNSを見せると米国の友人たちは「やっぱすげーかっちょいい/美しい」と口を揃えて言うのだが、必要と思うかと聞くと「よくわからん」という答えが返って来る(米国のSNSに対しても、もちろんそうだが)。いま日本ではSNSのビジネスモデルを必死に考えている人が大勢いると聞くが、じゃ、なにがmust haveなの?という素朴な疑問に応える姿勢が彼らに問われるのだと思う。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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