Microsoftの「Zune」やソニーの「Mylo」など、iPod+iTunes Music Store(iTMS)のコンビに挑む新たなライバルが矢継ぎ早に登場しているなか、世界最大の携帯電話メーカーであるフィンランドのNokiaも、この携帯メディア端末+デジタル音楽配信の市場に本格的に参入することになった。
Nokiaは8日(現地時間)、米国のLoudeyeを約6000万ドルで買収すると発表した。Loudeyeはオンライン音楽配信に関する権利管理などのインフラを提供しており、現在同社からコンテンツの提供を受けて運営されているサービスは世界で60以上にのぼり、同社のカタログには160万曲以上の楽曲があると、Reutersは伝えている。
また、英Financial Times(FT)の記事によると、NokiaはこのLoudeyeの買収をてこに、2007年にもAppleのiTMSに対抗するオンライン音楽配信サービスを立ち上げ、音楽再生機能付きの携帯電話から楽曲をダウンロード購入できるようにする予定だという。
ノキアの幹部であるAnssi Vanjoki氏(Nokia Multimediaエグゼクティブバイスプレジデント)はFTに対し、「われわれはグローバルなモバイル音楽分野でリーダーになりたいと考えている。そして、そのことがAppleのいる分野で活動することを意味するなら、そうするまでのことだ」("We want to be a global leader in mobile music experiences, and if that means operating in areas where Apple is, then so be it.")とコメントしている。
この新しいサービスはNokiaとは別ブランドで運営されるが、購入代金は電話料金のなかに含まれる形で徴収される予定。さらに、ダウンロードした楽曲はどの音楽プレーヤーでも再生できるようになるとのことで、このあたりは、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンの3カ国で、Appleに対してiTMSで購入した曲をどの端末でも再生できるようにすることを求める動きが出ていることを受けたものと、この記事は指摘している。
現在、iPodとiTMSとを通じてデジタル音楽市場で圧倒的な優位を誇るAppleだが、Nokiaは決して侮れないライバルになると予想される。Reutersの記事によると、Nokiaは2006年4-6月期に1500万台の音楽再生可能な携帯電話端末を販売しており、今年全体の販売台数目標は8000万台以上とのこと。同様に、
FTの記事にも、Nokiaがすでに世界最大の音楽対応携帯電話のメーカーとなっており、昨年には4500万台を販売したと記されている(ちなみに、昨年のiPodの販売台数は合計で約3500万台)。
ただし、Nokiaには失敗の前歴もある。同社は1990年代にエンドユーザーへの直接販売を狙った音楽配信サービス「Club Nokia」を立ち上げ、自社の端末を購入した人々に着うたを提供していたが、これが携帯キャリア--とくにVodafone--の利害に抵触したため、2004年にこのサービスを閉鎖したと、雑誌Wiredの2005年11月号に掲載された記事(「Battle for the Soul of the MP3 Phone」)には書かれている。こうしたことから、とくにキャリア各社との関係を中心に、新サービスをどういう形で提供していくのかに大きな注目が集まることになろう。
また、かねてから噂が取りざたされているAppleの「iPhone」についても、早晩何らかの決断が下される可能性が高まるのではないだろうか。その動きの鍵を握るプレーヤーのひとつがソフトバンクであるのは既報の通りだが、今回のNokiaの発表が引き金となって起こる大きな変化の結果、日本でもiPhoneが提供されることになれば、Appleファンには嬉しい展開となるだろう。
坂和敏(編集部)
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